「推進法で逆流現象」 いじめ被害家族が法改正求める

いじめ防止対策推進法の改正と学校・教委の対策徹底を求めた

いじめ問題の解決に取り組むNPO法人「ジェントルハートプロジェクト」は6月12日、東京都千代田区の参議院議員会館で勉強会を開いた。いじめ被害にあった家族が、いじめ防止対策推進法の改正と学校・教委への防止対策の徹底を求めた。登壇した尾木直樹法政大学特任教授は「推進法が制定されて5年たつが、かえって第三者委や教委のモラルが崩壊している。逆流現象が起きている」と指摘した。

2015年に埼玉県川口市の中学校でいじめの被害に遭い、卒業まで長期間にわたって不登校となった男子生徒の保護者は、いじめの重大事態であるにもかかわらず誠実な対応を取らなかった校長や市教委の姿勢を強く批判した。いじめに対して学校長から謝罪があり、「30分でいいから登校してほしい」と言われ続けたが、登校しても学習面の支援体制やいじめの原因究明は行われなかった。「私たちは卒業後も学校の対応に苦しみ続けている。存命被害者には命があり、登校できるからと軽視されがちだ」と語った。

16年にいじめが原因で自殺した青森県青森市の女子中学生の保護者は、同市の第三者委員会での検討が遺族に寄り添ったものではないとし、「思春期によるうつ」と診断した根拠を説明できなかったことなどから、委員の適格性を疑問視し、解任を求めた。

「一体誰が、どんな調査をしたのか。報告書からは娘の姿が想像できず、失った頃と同じような思いを感じた。もはや行政による二次被害だ。遺族に追い打ちをかけるような第三者委なら必要ない」と訴えた。

被害者家族の話に耳を傾けていた尾木教授は、いじめの事実が書かれたメモの隠ぺいや遺族に寄り添わない第三者委の結論など、相次ぐいじめをめぐる学校や教委の不祥事に触れ「推進法が制定された頃は希望があった。対策が前進すると思ったら、逆流現象が各地で起こっている」と指摘。文科省が昨年3月に改訂したいじめ防止のガイドラインの徹底を求めた。

小森美登里同法人理事は「今の法律では教員の意識改革は不可能だ。子供の命の重大事態が起き続けているが、過失があっても何の責任も問われず、学校のいじめ対応能力は上がっていない。罰則規定も含め、実効性のある法改正が必要だ」と強調した。