長寿社会の人材投資の方針 人づくり革命基本構想

基本構想の取りまとめにあたり発言する安倍首相(首相官邸HPより)

政府の人生100年時代構想会議は6月13日、第9回会合を首相官邸で開き、「人づくり革命基本構想」を取りまとめた。幼児教育・高等教育の無償化をはじめ、大学改革、リカレント教育の推進など、健康寿命が世界一の長寿社会を迎えた日本における人材投資の政策方針をまとめた。安倍晋三首相は「基本構想に沿ってPDCAを回し、確実に実行していくことが重要」だとし、基本構想を骨太方針に取り入れると共に、フォローアップ会合を設置する方針を示した。

子育て世帯を支援し、社会保障を全世代型へ転換するため、3~5歳までの全ての子供と、0~2歳までの年収270万円未満の住民税非課税世帯の子供を対象に、幼稚園、保育所、認定こども園の無償化を実施する。幼稚園の預かり保育や認可外保育施設、事業所内保育施設、障害児通園施設なども対象とする。無償化の上限額は認可保育所における月額保育料の全国平均額とし、2019年10月から全面的に実施する。

経済格差が教育格差につながり、格差の固定化を防ぐため、低所得家庭の生徒を対象に高等教育を無償化する。住民税非課税世帯の子供では、国立大の授業料と入学金を免除する。公立大の場合は国立を上限に、私立大の場合では、授業料は国立の授業料に私立の平均授業料と国立の授業料の差額の2分の1を加算した額、入学金は私立の入学金の平均額を上限とする。

住民税非課税世帯に準じた世帯の子供も、給付型奨学金の支援対象とする。年収300万円未満の世帯では、授業料の減免と給付型奨学金の3分の2の額を、年収300~380万円未満の世帯では、3分の1の額を支援し、給付額の段差をなだらかにする。支援対象者は、高校在学時の成績だけで否定的な判断をせず、リポートや面談により本人の学習意欲を確認。進学後は、1年間に取得が必要な単位数の6割以下しか取得していないときや、成績が下位4分の1にあるときは、大学から学生に警告を行う。この警告を連続で受けたり、退学・停学処分となったりした場合、支給を打ち切る。

支給対象とする高等教育機関には、▽実務経験のある教員が卒業に必要な単位数の1割以上の授業を担当▽理事に産業界の外部人材を複数任命▽シラバス、評価指標の作成や適正な成績管理の実施・公表▽財務情報と教育活動の開示――を要件とする。

各大学の役割や特色・強みの明確化を進め、教育の質の向上や学生が身に付けた能力・付加価値の見える化を進める。国立大学では、一つの法人の下で複数の大学を運営できる制度を導入。私立大学では、学部単位での事業譲渡の円滑化や合併を促進。撤退を含めた早期判断を促すため、経営指導の強化・破綻手続きの明確化を進める。国公私立の枠を超えた大学連携を可能にする「大学等連携推進法人」の創設も検討する。

教育訓練給付の拡充や産学連携によるリカレント教育のプログラム開発を行い、最先端の技術やニーズの高い分野について、社会人が学び直し、キャリアアップにつなげられるような環境を整備する。