政府が登下校防犯プラン 新潟事件で、練馬区が先取り

(左)児童が駆け込む「子ども110番の家」(右)訓練で児童に声をかける「不審者」役

政府は6月22日、登下校時の安全確保に関する関係閣僚会議を開催し「登下校防犯プラン」を決定した。全国の小学校の通学路を9月末までに緊急点検し、危険な場所の洗い出しと重点的な見守りなどの再発防止策につなげる。

会議では、防犯ボランティアの高齢化や担い手不足により、不審者が身を潜めやすい場所や児童が一人になる「見守りの空白地帯」が生じると指摘。緊急点検を小学校や警察、保護者や地域住民ら合同で実施し、国に報告するよう求めた。判明した「空白地帯」は警察が重点的にパトロールするほか、見守り活動の人員配置や防犯カメラの整備を支援するとしている。

プラン決定は、新潟市で5月に起きた下校途中の女児連れ去り・殺害事件を受けての措置。文科省は安全策として「極力、一人にしないことが重要」との見解を示し、有効策として集団登下校を挙げた。ただ、集団登下校を導入している小学校は全国で約6割にとどまるという。

実際は、集団登下校では防ぎきれない事態も起きている。13年6月に東京都練馬区立小学校の児童3人が切りつけられた事件は、集団下校中に正門近くで発生した。教員の目が届きやすい場所であっても、児童が被害を受ける可能性が十分にあることを示す形となった。

このため区は安全対策を一層強化。危機管理室、区教委、警察、地域が連携し、「空白地帯」をなくして子供の安全を守る取り組みを推進してきた。注目されるのが「パトロール団体」登録制度。自主的にパトロール活動を行う団体に対し、▽ボランティア保険の加入▽パトロールカー(運転手付き)の貸し出し▽パトロール用品(ベスト、防犯ブザー、ホイッスル、誘導灯)の支給――を支援している。現在登録団体は270以上で、新聞販売組合など11の事業組合と共に24時間体制で巡回。小学校の登下校や学童クラブ・児童館の見守りには特に重点を置いている。

団体の中には、小学校の「駆け込み訓練」で「不審者」や「子ども110番の家」の役を務めて存在感を示すケースも。登下校時、ランドセルを背負って歩いている場面を想定し、「不審者」に声を掛けられたら防犯ブザーを鳴らして「子ども110番の家」に駆け込む訓練を全児童参加で実施している。区教委は「襲われたら大声を出す、防犯ブザーを鳴らすといった指導をよくしているが、緊急時には大人でさえ足がすくんで頭が真っ白になる。こうした実践的な訓練は非常に役立つ」と指摘する。

区危機管理室が力を入れているのは、小学校の学区域を単位として結成された地域の防犯連携組織。情報交換や見回り相談などの連絡会の場となっているからだ。参加するのは危機管理室の他、学校、PTA、「学校応援団」と呼ばれるPTAのOB、商店会、パトロール団体など。毛塚久・危機管理課長は「見守りなどの活動はどうしても学校やPTAと地域でバラバラになってしまいがちで、協力し合う場を作るのが難しい」と課題を話す。その課題解決の鍵を握るのが防犯連携組織になるというわけだ。

区では全国に先駆けて、全校5台ずつの防犯カメラ設置や、全ての小中学生への防犯ブザーの配布、区内で発生した犯罪や不審者の情報を掲載する「ねりま安全・安心情報マップ」の配信などの対策を次々に講じている。毛塚課長は「互いに顔つなぎをすることの大切さ」を強調。「どのような犯罪が起きるか想定できない中、さまざまな観点から防犯に努め、皆で一緒に地域を守る方向へ発展させていきたい」と語った。