運動の誤差原因を脳が修正 阪大が発見、AI応用へ期待

運動誤差と目標誤差の実験条件

大阪大学の研究グループは、大脳皮質の前頂葉が手を伸ばす運動で生じる誤差の原因を区別して修正の信号を送っていることを突き止めた。スポーツの効果的なトレーニングや人工知能への応用が期待される。研究成果は7月6日に米科学誌『Current Biology』の電子版に掲載された。

例えば野球のバッティングでストライクゾーンのストレートを空振りする原因には、バッターが振ったバットの位置がストライクゾーンから離れていた運動誤差と、ボールが落ちるなど、相手の想定外の動き(目標誤差)による場合が考えられる。大阪大学大学院生命機能研究科の北澤茂教授と同大国際医工情報センターの井上雅仁特任准教授は、運動誤差と目標誤差を脳のどの部分が区別しているのかを実験で明らかにした。

実験では、サルに目の前に現れる十字の目標に向かって手を伸ばさせた。運動誤差条件では、わざと誤差が増えるように制御した装置を使い、目標が見える場所に手を伸ばしても右や左に少しずれて手が届くようにした。目標誤差条件では、運動中に十字の位置をランダムな方向にずらした。その結果、大脳皮質の前頂葉にあるブロードマン5野のニューロンでは、目標誤差は無視し運動誤差の情報だけを、7野のニューロンでは、運動誤差と目標誤差の両方を検出していることが分かった。これらの実験から、5野では運動誤差の修正信号を、7野では目標誤差の修正信号を発信していることが分かったという。

研究成果を踏まえると、スポーツでは、まず目標誤差がない状態で運動誤差を徹底的に最小化するトレーニングをし、次に運動誤差に影響を与えない環境で目標誤差への対処法を学習するのが理想的であるという。人工知能でも運動誤差と目標誤差を切り分けることで、自動運転システムの改良やロボット制御の改善につながると期待される。