数学的資質を問うシンポ 都内でJEESが主催

式と図を関係付けて考える

NPO法人全国初等教育研究会(JEES、理事長・堀田龍也東北大学大学院教授)の主催で、(株)教育同人社が協力する第6回JEES教育シンポジウムが「新学習指導要領全面実施にむけて!子どもたちに『数学的な資質・能力』を育もう」をテーマに7月22日、都内で開かれた。教育関係者がそれぞれの立場から若手教師に具体的なアドバイスを送った。

笠井健一国立教育政策研究所教育課程研究センター教育課程調査官は「算数で育む『資質・能力』とは ~子どもたちに『資質・能力』を育むカリキュラム・マネジメント~」と題して基調講演した。「算数科が目指す資質・能力は『知識及び技能』『思考力・判断力・表現力等』『学びに向かう力、人間性等』を柱に、①日常の事象を数理的に捉え、見通しを持ち筋道を立て考察する力②基礎的・基本的な数量・図形の性質などを見いだし、統合的・発展的に考察する力③数学的な表現を用いて、事象を簡潔・明瞭・的確に表したり、目的に応じて柔軟に表したりする力」と解説した。

シンポジウムの会場風景

その上で、授業で忘れてはならないことに焦点を当て、「『主体的・対話的で深い学び』は、『何を身につけさせたいのか』という目的、狙いを明確にし、それらを達成することを前提に授業をすること。子供たちの状況に応じて教師が判断しながら見通しを立てること。粘り強く学ばせるよう、子供たちに働き掛けること。振り返りを大切にし、児童が多様な解決方法を学びながら、どの方法がよいか考えさせ、実際学んだことが使えるようにしてあげ、自力解決できる力を付けさせること」と指摘した。

「数学的に考える力を育む授業づくりとは」をテーマにパネルディスカッションもあり、盛山隆雄筑波大附属小学校教諭と久下谷明お茶の水女子大学附属小学校教諭が実践事例を報告した。盛山教諭は小学校4年生の「マッチ棒は何本?」と題した「式と計算」の導入単元の授業で、展開図上のマッチ棒の数を算出する内容を取り上げた。授業の狙いは、マッチ棒の数の答えを出すことよりも「図形の見方の洗練」「式の表し方の洗練」「式と図を関係付けて見る力をつける」ことだった。

久下谷教諭は小学校4年生の「小数を用いた倍」の単元の授業で、給食を題材に中学年と高学年の量の違いに着目させた。それぞれの献立のグラム数を情報として提供し、全ての献立が1.2倍の差になっていることに気付かせ、かつ、その根拠も伝える。児童からは「低学年と中学年の差はどうなっているのか確認したい」と新たな課題意識も生まれたと解説した。

2人は、参加者の若手教師らに対し「子供の見方、考え方に考えを寄せることが大切で、そこの質を高めること。子供たちが出した答えには根拠があるので、理由や根拠をヒアリングし、みんなで議論すること」(盛山教諭)、「正しいかどうかではなく、考えに至ったプロセスを考察すること。考え方を議論する授業は間違いを恐れない『思考の冒険』をすることが大切。子供の言葉を大切にすること。学習感想を自由に述べさせること。見方、考え方の裏側を考えること。子供の言葉で授業を振り返ること」(久下谷教諭)と助言した。