ユネスコの「顔」が逮捕 川端容疑者を昨年単独取材

昨年11月、教育新聞のインタビューに応じた川端容疑者

「改めて文科省として猛省し、省全体を挙げて信頼の回復に努めなければならない」。林芳正文科相が文科省全職員を集めて訓示した7月10日からわずか半月。前科学技術・学術政策局長佐野太被告に続いて26日逮捕された国際統括官川端和明容疑者は、文科相の訓示を講堂の最前列で聞いていた。

川端容疑者は2017年4月、宇宙航空研究開発機構(JAXA)理事から国際統括官のポストに異動した。逮捕容疑はJAXAに出向していた間に受けた接待による収賄だ。

国際統括官は主にユネスコ(国際教育科学文化機関)を担当し、日本の文化、科学、教育を代表する「顔」と位置付けられる。大使級のポストに就くキャリア官僚の逮捕は、日本の文科行政の国際的なイメージを大きく損なう。ユネスコは、国連の定めたSDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けた取り組みを進め、日本でも新学習指導要領でESD(持続可能な開発のための教育)を重視してきたことから、日本のESD推進にも水を差してしまった。

教育新聞が昨年11月、川端容疑者にユネスコスクールの取り組みについてインタビューをした時は「ユネスコスクールのネットワークを最大限に活用して各校が主体的に国内外のユネスコスクールと交流することが重要だ」と話していた。当の本人が不適切な人物と「黒い交流」をしていたことは実に皮肉だ。川端容疑者に対する贈賄容疑で再逮捕された元会社役員の谷口浩司被告による「黒いネットワーク」が文科行政の中に深く根を張っているのではないかと疑いたくもなる。

昨年1月に表面化した天下りあっせん問題以降、文科省では不祥事が相次ぐ。先の訓示で林文科相は「常に初心に立ち返り、なぜ自分はこの文科省の門をたたいたのか、心にとめてほしい」と呼び掛けた。多くの職員が教育や科学、文化、スポーツに熱意をもって誠実に仕事をしている。そのことを日々の取材で実感している一人として、一連の不祥事がこれ以上続かないことを願いたいが、国民の信頼は地に落ちてしまった。

文科省は解体されたつもりで出直すくらいの覚悟と矜持(きょうじ)が必要だ。次の時代の人づくりを担う省庁だからこそ、高いモラルで行動を律しなければならない。このままでは、学校で道徳を学んでいる子供たちに顔向けできない。

(藤井孝良)