OECDが日本の教育を評価 課題は教員の長時間労働

会見前に林芳正文科相や鈴木寛大臣補佐官と会談したシュライヒャー局長

OECD(経済協力開発機構)は7月27日、日本の教育政策を分析した報告書を公表した。新学習指導要領をはじめとする日本の教育改革の方向性を評価する一方で、就学前教育や高等教育の私費負担軽減、教員の長時間労働の解消、生涯学習の強化が課題だと指摘した。OECDが日本の教育政策に関する報告書を作成したのは2009年以来9年ぶり。

東京都千代田区の日本記者クラブで会見したアンドレアス・シュライヒャーOECD教育・スキル局長は「日本の強みを再確認できた。日本は将来を見据えた改革ができている。ただし、学習指導要領に書かれた内容をどのように学校現場で実践に移すかは難しい」と話した。

報告書は、新学習指導要領が目指す問題解決能力や学びに向かう力、創造性などの教科横断的な技能の獲得は、変化の激しい社会に適応できる若い世代を育成するための意欲的な取り組みだと高く評価した。

新学習指導要領を実施するには、教員がアクティブ・ラーニングなどの新しい指導方法や資質・能力を適切に評価するための手法を学ぶ体系的な研修が必要だと報告書は述べた。さらに教員の勤務時間が他国と比べて極度に長いことについては、新学習指導要領の実施を困難にするとも指摘した。シュライヒャー局長は「教員の数を増やせばいいという単純な話ではない。教員が抱えている業務を見直し、専門家としての質を高めることが重要だ」と強調した。

日本では他国と比べて就学前教育や高等教育の私費負担が大きいことから、低所得世帯向けの就学前教育への公費投入や高等教育を受ける学生に対する所得連動返還型奨学金の充実を実現するよう提言した。

成人の生涯学習への参加率が低いことも取り上げ、社会の変化に柔軟に適応できなくなると指摘。労働市場のニーズに合った参加しやすい学習プログラムの提供を求めた。