教育政策の課題を討議 OECDと文科省がセミナー

OECDと文科省が日本の教育政策の課題を議論

OECD(経済協力開発機構)と文科省の共催による第20回OECD/Japanセミナーが7月28日、東京都千代田区の一橋講堂で開かれ、教育関係者ら約400人が参加した。アンドレアス・シュライヒャーOECD教育・スキル局長をはじめ、9年ぶりとなる日本の教育政策に関するOECD報告書の作成・分析に携わった海外の研究者が講演し、日本の教育政策の課題を文科省の政策担当者や有識者と討議した。

シュライヒャー局長は基調講演で「デジタル化が進行し、世の中が大きく変化しているのに比べると教育はほとんど変わっていない。これからの社会ではより学びが必要になる。教育をテクノロジーによりどうリードさせるかが世界的な課題になっている」と強調した。

局長は全人的な教育や地域と学校の連携を日本の強みとして挙げ、新学習指導要領や大学入試改革を野心的な取り組みと評した。一方で、世界的にも突出している教員の業務負担の多さについては、新しい指導方法や評価に関する研修のゆとりや教職の充実感を奪うと指摘した。

報告書の外部有識者を務めたグラスゴー大学名誉教授グラハム・ドナルドソン氏は「今後、教育の役割は変わっていき、われわれが受けてきた教育とこれからの教育は異なるものになる。教師の能力開発にどのように取り組んでいくか。教育学や教育方法論は変革を迫られている。特に子供の学習をどのように評価していくか、日本の改革に注目している」と述べた。

OECD教育・スキル局アナリストのピエール・ゲダール氏は日本の学校と地域の連携に着目。「日本のモデルは、コミュニティーの再生や不利な立場にある子供のケアなど、多くの社会的課題を解決しようとしている。ただし、日本ではリーダーシップが分散され、校長もすぐに異動してしまう。日本のモデルは複雑で、リーダーシップの在り方を変えなければ混乱や改革疲れが起こる可能性もある」と指摘した。

報告書の外部有識者で高等教育コンサルタントのロゲール・スミス氏は、日本では労働者がスキルアップのために学ぶ環境づくりが世界から大きく後れを取っていると指摘。「労働者や雇用者を巻き込んで、ニーズに応じたスキルを少ない負担で学べるようにするためには、政府は資格や受講単位を小さくすることが有効だ」と提言した。