新聞は学力育むとNIE大会 3.11後、被災地で初開催

NIEに取り組む大槌町の小学生(日本新聞協会提供)

日本新聞協会が主催する第23回NIE全国大会が7月26、27の両日、岩手県盛岡市と大槌町で開かれた。東日本大震災以来、被災3県(岩手、宮城、福島)での開催は初めて。今年のテーマは「新聞と歩む 復興、未来へ」。これからの時代に求められる学力を育む教材として新聞を再評価した上で、活用の事例を発表した。

NIEはNewspaper in Education(教育に新聞を)の略で、新聞記事を通じて実社会に関する情報に触れ、対話などにより考えや学びを深める目的がある。世界80カ国以上で実施されており、日本では日本新聞協会が1985年に提唱した。2018年度は全国544校が「NIE実践指定校」になり、活動している。

初日は、著書に「声に出して読みたい日本語」などがある斎藤孝・明治大学教授が「新聞力と復興」をテーマに講演。「新聞と復興の関係は『経験の共有』」と語り、「新聞で蓄積した情報を全国で共有できれば、社会の耐震性が強化できる」と強調した。さらに新聞は実用的な日本語で書かれていることから、読解力や文章力を鍛える教材として有効だと述べた。

「今の教科書は活字が少なく驚かされる」と感想を口にし、朝読書などで記事のスクラップを活用するよう提案した。国語力の向上に加えて「記事への意見や感想を話し合うことで当事者意識が生まれ、責任感が育つ」とも。自身も大学で興味ある記事を題材に4人一組で討論させ、好評を博しているという。選挙権年齢や成人年齢の引き下げに伴い、当事者意識を持って社会に関心を持つことがますます重要になると触れ「社会問題を扱う新聞は教材として素晴らしい」とまとめた。

続く座談会に、被災した県内の高校生や大学生らが参加。津波から避難した当時の記憶を振り返り、「被災者にとって、新聞は重要な記録。災害の教訓を未来に伝える」などと新聞の有用性を認めていた。

2日目は県内の小・中・高・特別支援学校で授業公開を実施した。津波で被災した大槌町の公立小中一貫校では、「私たちはどう生きるか~自分ごととして未来を語る~」をテーマに、複数の新聞記事を比較検討しながら、自らが果たすべき役割について意見を交わした。