平成最後の原爆の日 核兵器のない世界目指し

広島は8月6日、平成最後の「原爆の日」を迎えた。原爆投下から73年。広島市の松井一実市長は同日午前開かれた平和記念式典の「平和宣言」で、核兵器禁止条約の採択を導いた国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)のノーベル平和賞受賞を歓迎し、「国際社会が核兵器のない世界の実現に向けた対話と協調を進めるよう、役割を果たすことを求める」と呼び掛けた。(クローズアップに関連の「平和特集」)

これに対し、安倍晋三首相は核兵器禁止条約については触れず、「核兵器のない世界を実現するためには、核兵器国と非核兵器国双方の協力を得ることが必要で、わが国は非核三原則を堅持しつつ、粘り強く双方の橋渡しに努め、国際社会の取り組みを主導していく決意です」と述べるにとどまった。

式典には核保有国の米国、英国、フランス、ロシアなどを含む85カ国の代表らが参列した。

厚生労働省によると、今年3月末時点の被爆者は15万4859人で過去最少、平均年齢は82・06歳となった。平成の年間だけで約19万8000人の被爆者が亡くなった。式典ではこの1年で死亡が確認された広島の被爆者5393人の名が原爆死没者慰霊碑に奉納され、死没者は31万4118人となった。

昨年7月に国連で採択された核兵器禁止条約については、衆院広島1区選出の岸田文雄外相=当時=が「わが国の基本的な考え方は核兵器国と非核兵器国の協力の下に現実的・実践的な取り組みを積み重ねていくというものだ。今回採択された条約は、こうしたわが国の『核兵器のない世界』を目指すわが国の考え方とアプローチを異にしていると考えている」と静観する立場を終始取ったことから、被爆者を落胆させた経緯がある。

松井市長が「平和宣言」で体験談を引用した被爆者の一人、藤本忠義さん(93)=和歌山市在住=は「核兵器の使用は、無制限に命を奪うものであり、二度とあってはならない」と訴え、「昨年のノーベル平和賞の受賞など、世界は核廃絶の方向に向かっていますが、時間がかかっています。世界の賢人には、核兵器のない世界に向けて、核兵器の法的規制や新たな提言の発表などに取り組んでいただきたい」と話した。

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