質的転換迫られる道徳 都内でシンポ、脱読み物へ

「考え、議論する道徳シンポジウム」の会場風景

日本図書文化協会などが主催する「考え、議論する道徳シンポジウム」(教育新聞社ほか後援)が8月24日、東京・大塚の筑波大学附属小学校で開かれ、全国から約130人の教員らが参加した。2019年度からの中学校道徳科完全実施を前に、道徳は「読み物道徳」だった従来型から質的に転換する必要があるとの共通認識を会場全体で確認したのが特徴だった。

実践発表では、小・中学校6校が、問題解決型学習の進め方に焦点を当てて説明。全国中学校道徳教育研究会(全中道)元会長で、東京都豊島区立西池袋中学校の江川登校長は「これまで授業や行事の中で行ってきた道徳教育を見直してほしい」と訴え、道徳科の指導内容に基づき学校教育全体で道徳的価値を意識することが重要と述べた。さらに教科書や副教材だけでは郷土愛を育む学習が不十分になると指摘し、地域に即した独自の教材を作ることを提案した。

基調講演では、「考え、議論する道徳」の名付け親とされる文科省初等中等教育局の合田哲雄・財務課長が、「2020年教育改革が目指すもの」をテーマに、道徳教育における深い学びの重要性を解説。道徳教育で養うべき基本は「多様な価値観があることを理解した上で、現実に起こるさまざま問題について考える姿勢だ」と強調。「道徳教育では他教科との関わりが鍵。教え方について蓄積豊富な小学校教育に学ぶべきことは多い」と述べた。

シンポジウムには、柳沼良太・岐阜大学大学院准教授、降籏友宏・文科省主任学校教育官らがパネリストとして参加。21世紀に求められる資質・能力としての道徳性は「主体的に考え、他者と協働して問題解決する力」「教科を超えて総合的に俯瞰(ふかん)する力」であることを確認し、「考え、議論する道徳は、価値を教えないオープンエンドの活動だ」と問題提起した。

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