「守り」の19年度概算要求 新指導要領の関連減額も

文科省の2019年度概算要求は5兆9350億円余で、6兆円まで手が届く水準になった。文教関係予算は4兆4103億円、18年度予算比で約3700億円の増額となった。しかし、新規事業で目立つのは、19年10月から無償化される幼児教育の振興、リカレント教育の充実、そしてSociety5.0に向けた人材育成くらいで、従来の事業を計画的に継続する「守りの姿勢」に徹している。19年度の概算要求のポイントは――。

文教関係予算の概算要求額を大きく押し上げたのは、大阪北部地震で大阪府高槻市立寿栄小学校の女子児童が倒壊したプールの壁に挟まれて死亡した事故が要因だ。安全・安心な学校づくりを目指し、校舎や体育館の耐震化を優先させてきた行政にとって、ブロック塀による事故の発生は盲点だった。反省を踏まえ、公立学校施設の安全対策・防災機能の強化に2432億3100万円を計上した。規模は18年度予算比で3.6倍となる。

防災機能の強化は、ブロック塀の安全対策をはじめ空調設置やトイレの改修が柱となっている。今夏の記録的な猛暑で、学校の空調設置を求める地方自治体の陳情が文科省に相次いだ。自治体の財政力によって空調の整備率の差が大きいこともクローズアップされた。愛知県豊田市立梅坪小学校では校外学習に参加した男子児童が熱中症で死亡する事故が起き、岐阜県では暑さ対策のため夏休みを延長する事態に追い込まれた県立高校もあった。17年時点で公立小中学校の教室の空調設備設置率は41.7%にとどまっていたことから、空調設置は喫緊の課題である。

18年度概算要求で注目された、学校における働き方改革に関する教員加配や外部人材の活用は、26年度までの8カ年計画に基づき、19年度も18年度と同等の水準で拡充されている。中でも、副校長・教頭の業務支援に特化したスクール・サポート・スタッフの新規400人の配置や、中学校の部活動指導員に18年度の2.7倍の1万2000人の配置拡充を打ち出した点は評価していいだろう。

20年度以降に全面実施される新学習指導要領に関連する事業には、際立った編成がみられない。カリキュラム・マネジメントの推進など新学習指導要領の趣旨の周知・徹底に関する予算は、18年度予算比5500万円減の2億300万円になった。小・中で移行措置や一部教科の先行実施が始まり、周知が進んでいるとはいえ、「主体的・対話的で深い学び」の視点に立った授業の改善を具体的にイメージし、実現の手だてを全国の学校現場が持てているだろうか。周知・徹底の潮目が変わったと考えるのは早計であろう。