中・高教科書で同じ図版 原子力学会が教科書を分析

日本原子力学会がまとめた調査報告書

日本原子力学会教育委員会は高校物理などの教科書の原子力や放射能に関する記述を分析した報告書をまとめ、9月4日に文科省に提出した。中学校理科と高校の教科書で同じ図版や実験が掲載されている点などを指摘し、高校段階ではより詳しい内容を取り扱うよう求めた。

現在発行されている高校の「科学と人間生活」「物理基礎」「物理」の各科目の全ての教科書を分析した。その結果、「科学と人間生活」の一部の教科書を除き、全ての教科書でエネルギー利用の現実的な例として原子力発電を扱っていた。一方で、原子力発電の図版や霧箱を使った放射線の観察実験など、扱っている内容が中学校理科と同じ教科書もあった。

同学会はこれらの分析結果を基に、高校物理などの教科書に▽原子力発電の詳しい図を掲載する▽産業における放射線の応用例の記載を充実する▽放射線の人体への影響を分かりやすい図で解説する――よう要望した。この他に、高校段階でふさわしい実験に、室内の空気中の浮遊塵(じん)に含まれる放射性核種の半減期の測定を提案した。

報告書をとりまとめた工藤和彦九州大学名誉教授は「現行学習指導要領で、中学校理科の原子力に関する教科書の記述は充実した。高校では放射線防護や安全も含め、記述をさらに詳しく充実させてほしい」と強調した。

同学会は教科書のエネルギー関連の記述を分析した報告書を既に出している。昨年は高校地理歴史科、公民科の教科書を分析し、報告書を作成した。