算数マジックで子供の心をつかむ 自作教材もフル活用

自作の教材「よくばりワニ」を手にする古川光弘教頭

「『めあてを授業の始めに示す』、これにとらわれすぎている先生いませんか」――。「未来の先生展2018」初日の9月15日に行われた「算数は、教材・教具そしてマジックで、こんなに楽しくなる!」で、兵庫県佐用町立三河小学校の古川光弘教頭はこう語った。

「授業開始と同時にめあてを書く。『2と3の公倍数を見つけよう』。もう、子供たちはゲンナリです。また退屈な45分の始まりかと」といい、退屈さを感じさせるめあての代わりとして黒板に書いたのは「算数のリズムをしよう」。この一工夫で児童らの顔が上がるという。

次に示したのは「二拍子と三拍子」のリズム。二拍子では一拍目に机をたたき、二拍目に両手を合わせて打ち鳴らす。三拍子では机をたたくのは一、二拍目で、両手を打ち鳴らすのが三拍目。続けて、教室の左半分には二拍子を、右半分には三拍子をさせる。「全員で両手をたたいたのは何拍子かな」という問いかけに、参加していた小学1年生の男子児童が元気よく「6!」と答えた。「そう、それが2と3の公倍数」と伝えれば、小学生でもすぐに理解できるという。

さらに古川教頭は「今から先生が1から順に数を数えるから、男の子は2の倍数の時に、女の子は3の倍数の時に立つんだよ。全員が一緒に立つ時はあるかな」と問いかけた。あえて別の動きにも取り組ませることで、理解の定着を図る。強調するのは「算数は変化のあるくり返し」という言葉だ。

次に取り出したのは、自作の教材「よくばりワニ」。「よくばりワニさんは、たくさんある方を向くよ」と説明しながら、黒板の一方にはリンゴを三つ、一方には四つ描く。「ワニさんはどっちを向くかな」と問いかけると、子供は「よくばりワニ」を手にとって、間違えずに四つの方を向かせるという。数を変えながら、他の子供にも取り組ませる。

実はこの「よくばりワニ」の口は不等号の形。「よくばりワニ」がどちらかの数を向いたまま記号に書き直せば、そのまま不等号が書ける仕掛けになっている。左右が同じ数の時は正面を向かせれば、「よくばりワニ」の開いた口がそのまま等号の形になる。「このネタを保護者参観でやれば100%ウケます」と冗談めかして話すが、その背景に日々のたゆまぬ努力と長年の蓄積があることは明白だ。

「『子供の心をどうつかむか』が生涯のテーマ」と古川教頭は語る。「朝から晩まで授業のことを考える。そうして生み出されるのがたった1時間の授業だとしても、それを5~6年続けて、ひたむきに教育に打ち込むことが、特に若い先生方には必要」と述べ、「ちょっとした配慮で子供を算数好きにすることができる」とまとめた。