「社会全体でプロの教員をつくる」 未来の先生展で記念対談

対談した安西会長(左)と工藤校長

教育イベント「未来の先生展2018」(文科省など後援)が9月15、16日の2日間、東京都渋谷区の聖心女子大学で開催された。2日目には、日本学術振興会顧問・学術情報分析センター所長で、中教審前会長の安西祐一郎・日本アクティブラーニング協会会長による講演と、千代田区立麹町中学校の工藤勇一校長を交えた記念対談が行われた。「次期学習指導要領の目指すもの」をテーマに、学校改革にも話が及び、リアルな学校現場の本音が語られた。

安西会長は講演で、これからの子供たちが必要とする学びを「困難な時代を迎えようとする中で、幸せに生きていくための学び」とした上で、「忙しい教育の場にいると教員はどうしても狭い範囲でものを見がちだが、もっと広い視野を持たなければならない。社会の転換、経済再生は子供たちに無関係でなく、いずれ直面する問題。世界に目を転じれば、情報技術関係でも中国の台頭が著しく、日本は完全に後れをとっている。各国が覇権を競うような不安定な状況の中に子供たちが出ていくことを、われわれは認識しなければならない」と警鐘を鳴らした。

対談では、行政を巻き込み学校改革を遂行した工藤校長が、学校のあるべき姿について語った。「学校ではけんかもトラブルも起こるが、大事なのは対話を通して、どう仲直りするか。ただ、そこで折り合いをつけるのではなく、互いの上位目標が何か合意形成を図ることが大切だ。自分のこだわっていることが、目標に対してどの位置にあるかが分かる」。

また自校での取り組みを挙げ、「全教員で学校内の課題を洗い出し、解決方法を探って対話を3年続けた。違う意見を持つ人間が集まる中で、自分の感情をコントロールしながら上位目標を探り当てる。これは子供に教えなければならないことそのものだが、われわれがそのスキルを持っていないと、結果的に同一性を求めてしまう」と述べた。

これからの教員に必要な能力について、工藤校長は「スーパーティーチャーを目指すべきではない。その存在は自ら考え対話するアクティブ・ラーニングと全く違う次元にある。アクティブ・ラーニングを進める上で教員はファシリテーターであればよく、今後の方向性もそうあるべきだ」と語った。

一方、安西会長は「次期学習指導要領では情報科の内容が変わり、プログラミング教育も本格的に始まる。教員不足がいよいよ深刻化する中で、情報科に限らず社会経験を積んだ人の教員登用についても議論が始まっている。今後は社会全体で、プロとしての教員をつくっていかなければならない」と見解を述べた。