人気の就職先を辞め教師に 教員の動機は生徒の成長

「生徒をワクワクさせたい」と語るパネリストら

「未来の先生展2018」初日の9月15日、「『人気の就職先』を辞めて、私たちは高校教師になった」をテーマとしたパネルディスカッションがあった。民間企業から転職した教員らがパネリストとなり、転職した背景や教育にかける思いを語り合った。

パネリストらがかつて働いていた企業は、モデレーターを務めたキリロム工科大学東京事務所の有澤和歌子所長によると、「大学生の希望就職ランキングに入る大企業」。「年収は悪くなく、自由度も高くて休みも多い中で、仕事もプライベートも変化にも富み、満足して働いていた。その日々を捨て、あえてブラックな学校現場に入った」と言う。

パネリストの1人、青翔開智中学・高校の織田澤博樹副校長は37歳の民間人副校長。新卒でシステムエンジニアとして採用され、後にキャラクタービジネスの世界へ転身。新たに知識やスキルを身に付けなければならない中、初めて「学ぶことの意味を理解した」と話す。2012年、結婚を機に鳥取市へ転居。同校の開校に参画し、当初は建築やICT整備といった企画設計を担当した。15年度に中学校で技術や「探究」の授業を担当し、翌年度から現職に就いた。

聖学院中学・高校の児浦良裕教諭は、教材などの研究開発やマネジメントなどに16年間従事した後、4年前に数学科教諭に転職した。現在は国際教育部長や入試広報副部長として学校改革を推進し、思考力入試の開発や探究学習の開発を担う。

田園調布雙葉中学・高校の小林潤一郎教諭は、システムコンサルタントを経て01年より現職。情報科の指導で社会人や企業との連携を重視し、教育ICTを活用したワークショップ型授業を展開している。

パネリストらの転職の背景に共通しているのは、「自分が生徒の頃に『こうなればいいのに』と思っていたことを形にしたい」という思い。人生100年時代を生徒がワクワク生きるために教員は何をすべきか、常に考え続けていると言う。

会社員の経験を踏まえ、教員の仕事について「時間の自由度が低い」「コスト感覚が弱い」「労働環境に『平等という名の不公平』があり、企業の能力主義と違って、一生懸命働く人と怠けている人の間で待遇の差がない」と課題を指摘。一方で、「会社員が仕事をする動機の源泉は給料、権限、社会的地位だが、教員の源泉は生徒の成長」という共通認識を示し、「ブラックと言われる環境でも、奉仕の精神が機能している」と述べた。

その上で、「教員はもっとワクワク生きるべきだ」とし、そのため心がけていることに「もしも自分が今の中・高校生だったら、何を学びたいかという視点を常に持つこと」「保護者や企業を巻き込み、学校だけで全責任を負うのではなく、負担を分散しながら教育に当たること」を挙げた。