軽い運動が記憶力高める 筑波大が突き止める

10分程度の短時間、軽い運動をした直後に記憶力が向上する――。筑波大学は9月26日、征矢英昭同学教授らの共同研究グループが、ウオーキングやヨガ、太極拳などの軽い運動が脳の学習・記憶をつかさどる海馬を刺激し、記憶力を高めることを突き止めたと発表した。

発表によると、これまでの研究で運動が体力の維持・増進だけでなく海馬にも有益な効果を持つことが分かっており、研究グループでは動物実験で、軽い運動でも海馬の神経細胞が活性化し、十分に学習・記憶能力を向上させることを明らかにしてきた。しかし、複雑な構造を持つヒトの海馬でも同様の効果があるかは不明だった。研究グループは、ヒトの海馬の神経活動を領域ごとに画像分析できる新技術を利用。36人の被験者に10分間のペダリング運動をさせた5分後に、似ているが全く同じではない二つの物体の写真を示し、違いに気付くかを測定する記憶テストをさせた。その結果、安静状態で実施した場合と比べて成績が向上した。

画像分析の結果から、軽い運動は海馬と海馬に感覚情報を受け渡しする領域の活動を増加させ、海馬の歯状回と海馬周辺の視覚情報の記憶に重要な領域との間で、情報伝達を活発化させていた。この情報伝達が活発化した被験者ほど、成績が向上していたという。

研究成果は米科学アカデミー紀要(PNAS)に9月24日付で公開された。