ハンディ減らす工夫を急げ 障害者入試巡ってシンポ

障害者支援のため入試のIT活用を議論したシンポジウム

障害のある児童生徒を支援するため入試やテストのIT活用を広げようと、東京大学PHEDが主催する「入試のIT配慮シンポジウム」が9月28日、都内で開かれた。PHEDは、文科省からの補助を受け2017年から東京大学が取り組んでいる3年間のプログラムで、障害のある学生を支援する連携プラットホームの形成事業に取り組んでいる。

慶應義塾大学の中野泰志教授は、現在のセンター試験や大学入試について▽B4判の拡大問題冊子は大き過ぎて読みにくく、障害者にとって不利になる場合がある▽学習支援でのIT活用は進んでいるのに、入試やテストでは浸透せず依然として紙が主流である――と問題提起した。

「普段の学習に利用しているシステムを使うのが大前提だ」と強調。紙媒体では公平性を担保できないと述べた上で、発達障害のある生徒や弱視生徒らの負担を大幅に軽減する「閲覧アプリ」の開発と活用が重要と訴えた。

大学入試センターの南谷和範准教授は「文科省の委託を受け、個人で研究しているため、センターの公式見解とは異なる」と断った上で、入試における配慮を「発展的アプローチ」「革新的アプローチ」「根本的アプローチ」の三つに分類する考えを紹介した。現在実施されているのは、従来の配慮を充実させる「発展的アプローチ」のみだとし、今後は、問題作成の段階における改善やITを用いた閲覧システムの実用化といった「革新的アプローチ」や、思考力・判断力・表現力を教育現場で評価する方法を開発する「根本的アプローチ」が必要と指摘した。

東大PHEDを担う東大先端科学技術研究センターの近藤武夫准教授は、高校における課題に「教員や保護者、外部専門家が配慮内容を決めることが多く、障害のある生徒本人が意思決定する機会が少ない」ことを挙げた。最後に「障害のある本人が『合理的配慮』について試行錯誤し意思決定することが大切で、それらを伝えて前例としていくことが求められる」と締めくくった。

【お詫びと訂正】第1段落の「東京大学PHEDと大学入試センターが主催する」とあるのは「東京大学PHEDが主催する」の誤りでした。第5段落の「東大先端技術研究センター」は「東大先端科学技術研究センター」の誤りでした。事実関係の確認が不十分でした。訂正して、おわびします。
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