「知の循環」が発動 SSHの横須賀高で研究発表

タブレット端末を手に研究成果を発表する女子生徒

「本庶先生みたいにたくさんの人を救う研究をして、ノーベル賞を受賞したい」――。将来の夢を尋ねると、1年の女子生徒が答えた。「学校説明会で女子の先輩ががん治療につ

いて発表していたのが格好よくて、心を打たれたから」と入学理由を口にした。

神奈川県立横須賀高校(九石美智穂校長)で10月2日、「教科学習と課題研究が生み出す『知の循環』の活性化を目指して」と題した授業公開と研究発表があった。同校は文科省から「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」に指定され、2016年度から科学的な思考力や課題解決能力、国際性の育成に取り組んでいる。

同校が使う学習ツールは「ロイロノート・スクール」。生徒はタブレット端末やスマートフォンにアプリを入れており、どこにいてもカードに自分の考えを書き出してプレゼンテーションに用いたり、他の生徒と意見交換したりできる。教員はアプリを通じて資料の配布や提出物の回収・添削ができ、それらは全てポートフォリオとして蓄積される。

女子生徒が「心を打たれた」と話した2年生(当時)の研究

九石校長は学習ツールの導入の狙いについて「海外研修をしたり、大学・研究所などと連携したりする中で、生徒は膨大な情報を得ている。共有したり蓄積したり、容易に発表に生かせるような工夫が必要だと考えた」と話す。「授業における教員の活用は、実はなかなか進んでいない」としながらも、「生徒の方が先に活用法を考え出している。授業で得た知識をもとにそれぞれ課題研究を進め、それらの成果を授業で生かすという『知の循環』が起きている」と語る。

研究発表では「3次元ハザードマップ」や、「感染症防止に有効な手立て」といった課題研究の成果を2年生らが紹介した。「原子番号の83『ビスマス』研究をもとに低融点合金を作る」と題する発表をした男子生徒は、「発表の中に必要性のない実験もあった」と他校の化学科教諭から厳しい質問が寄せられたにもかかわらず、「試行錯誤するのがSSHです」と即答。正解のない問いに積極的に取り組むSSHの意義を代弁していた。