「校長として最善の避難方法を用意」 学校安全で分科会

発表する済藤校長(右)と川上校長(中央)

10月4日開会した全連小の第70回研究協議会北海道大会では、函館市内の各会場で13の分科会が行われた。学校安全をテーマにした分科会では、防災教育・安全教育の推進と、校長の在り方についての研究が発表された。発表者からは、宮城県石巻市立大川小の津波訴訟で出された控訴審判決を例に、「私たちは校長として、できる限り最善の避難方法、避難手段を用意しておかなければならない。たとえ大げさに思われても、可能な限りの安全性を求めることが重要だと心に刻みたい」との考えが表明された。

北海道胆振東部地震を経験した地元・釧路市立共栄小学校の済藤和彦校長は「地域の特性を生かした防災・減災教育のあり方~『自助』『共助』『公助』の連携による防災力の向上を目指して~」をテーマに発表した。

釧路市は釧路川、新釧路川という大きな川で分断されており、地震発生時に橋脚の落下や津波の襲来などが起きると、管理職が勤務校にたどり着けない可能性がある。そのため釧路市小中学校校長会では、それぞれの校長、教頭の自宅から川を渡らなくても行ける学校を割り振り、学校が避難所となった際に管理職としての役割を果たせるように、出動体制を策定しているという。

済藤校長は市内各校の実践例を紹介しつつ、校長が果たすべき役割として、対外的には▽校下町内会とのつながりを強める▽近隣の警察や消防、行政機関などとの連携体制を構築する▽近隣小学校や中学校との連絡体制や協力体制を構築する――を挙げた。

一方、校内的には▽防災教育・減災教育の推進に当たってビジョンを明確に示す▽学校が避難所となった場合の教職員の役割分担を明確にしておく▽特別支援学級在籍の児童の特性に応じた対応を準備しておくよう指示する▽持病やアレルギーの状況、補助治療薬エピペンの必要性の有無など、児童生徒の個人的な情報を把握・管理しておく――ことが重要だと指摘した。

まとめでは「防災・減災教育は『命の教育』であり、『子供たちの未来への投資』。自分の身を守る知識や技能、判断力と行動力を身に付けさせるとともに、家族や友達、地域の人々と連携・協力する力を育て、災害に対応し、それを乗り越える『しなやかな力(レジリエンス)』を育てることが重要だ」と述べ、大川小訴訟を例に校長としての心構えを語った。

土砂災害や水害の危険地区にある栃木県那珂川町立小川小学校の川上ひより校長は「命を守る防災教育・安全教育の推進と校長の役割~自分で考え、自分で身を守ることができる児童の育成を目指して~」と題して発表した。

県の環境森林事務所などと連携し実施した「小学生山地防災講習会」など、児童が土砂災害の「危険信号」を察知し、自分で身を守る意識を育てるために、同地区の各校が行った実践を紹介した。

川上校長は▽避難訓練や防災に関する体験学習などでは、児童の主体的な学びとなるよう、事後に分かったことや感想をまとめさせたり、教科の学習と関わらせ理解を深めさせたりすることで、一人一人の判断力育成につながった▽地域と連携を図るため教職員に研修や訓練を実施し、意識を高められた▽各校の防災教育・安全教育を見直すことができ、校長自ら常に防災に対する高い意識を持ち、教職員や児童に発信し続けることの大切さを改めて実感した――と成果を振り返った。

課題については「学校による安全管理徹底のために、児童が主体的に対応できる安全教育を推進し、自分で身を守るための指導を組織的・系統的に実践していくことが重要。学校での取り組みを保護者にも伝え、学校と家庭とが共通の問題意識をもって進めていかねばならない」と述べた。