中高でバイオ実験が可能に 山口大が学校向けキット

開発された教材キット(山口大学提供)

山口大学は11月15日までに、中学校や高校の授業で動物細胞への遺伝子導入から発現までの観察を手軽に体験できる教材キットを開発し、教育機関を対象に1万円以下で販売すると発表した。実験装置が整っていない学校現場でも最先端のバイオ研究を学ぶことができる。

同学によると、教材キットは実験用の細胞にカイコの細胞を用いる。昆虫細胞は基本的な構造や機能がヒトの細胞と類似していることや、遺伝子組み換え実験に該当しないため、申請・承認の手続きが要らないなどの利点がある。生きた動物細胞の遺伝子発現を観察するには、本来は高価で特殊な顕微鏡が必要だが、教材キットを使えば学校にある顕微鏡でも観察できるという。

高校の「生物」などで細胞について学習する際、遺伝子導入の実験を試みようとしても学校に必要な装置がなかったり、遺伝子組み換え実験として申請・承認を得る手続きが必要だったりすることから、実施が難しかった。最先端の科学技術や実際の研究手法を生徒に実体験させたいとの声が、中・高の教員から同学農学部の内海俊彦教授らに寄せられたことがきっかけで教材キットの開発につながった。

開発に当たった内海教授は「教材キットを使えば、日本人の研究者がノーベル賞を受賞した免疫細胞やオートファジー、iPS細胞などにつながる最先端のバイオ研究を学校の授業で実体験できる」と話す。

教材キットは同学の技術移転機構である山口ティー・エル・オーが販売を担う。全ての実験器具、試薬、細胞が入ったAキットは税込み9820円。自作LEDライトとフィルターが付かないBセットが同8690円。購入申し込みは、同社のホームページから可能。