映画で独裁や権力を考える ドイツ人監督と対話型授業

シュヴェンケ監督と生徒が白熱した議論を交わした=11月26日、佐々木信郎撮影

高校生たちが映画鑑賞後の対話を通じて、「独裁」「権力」などへの考えを深める特別授業が11月26日、東京都杉並区の都立西高校で行われた。公民の特別授業として、1、2年生の希望者約60人が参加。監督本人が教室を訪れ、生徒と議論した。

映画は、独のロベルト・シュヴェンケ監督の「ちいさな独裁者」(来年2月から劇場公開)。第2次大戦末期、独の脱走兵が起こした実際の事件を題材にしている。平凡な一兵士であるヘロルトは、たまたま拾った将校の軍服を身にまとうが、それにより残虐な権力者としての意識や行動をエスカレートさせ、大量殺りくを犯すまでが描かれている。

生徒らは同作を鑑賞後、シュヴェンケ監督を交えて自由に感想を述べ合った。

生徒の一人は「ヘロルトには多くの兵士が付き従っていたが、どの兵士も何らかの利己性を抱えていた」と述べた。これに対し、監督は「従う兵士の中には、ヘロルトに対する疑問を抱く者もいたが、全員が問題に対する行動を起こすことはなかった」と返した。

独での第2次大戦の捉え方についても、監督は言及。「大戦中の戦争犯罪がナチスや親衛隊など、特定の人々だけの問題で済ます傾向に疑問があった」と語り、「独裁や強大な国家権力を育むのは、特定の権力者の影響力だけではなく、普通の市民の責任もあることを明らかにしたかった」と強調した。

授業を企画した同校の篠田健一郎教諭は「映画を教材として生かすことで、主体的・対話的で深い学びを実現したい」といい、「生徒らの多様な見方を尊重し、ディスカッションを通じた豊かな思考や感性を高める授業を模索したい」と語った。