AI活用で授業を改善 京都モデル発信へ実証研究

京都市立中学校であった調査=NEC提供

京都市教委は12月5日、京都大学、NECと連携し、AI(人工知能)を授業改善や学習支援に活用する実証研究を始めると発表した。研究は市立小・中学校各1校で2019年1月から20年3月までで実施し、21年度からは研究成果を基にAIの活用を拡充したい考え。

市教委によると、実証研究は児童・生徒が議論する場面を取り上げ、班ごとにマイクを置き、子供一人一人の声を特定し、発言内容や感情を認識するAIと連動させる。AIは瞬時に発言内容を文字にしたり、感情を喜びや怒り、悲しみなどの5種類に分類したりして、教員のタブレット端末に表示させる。教員はそれらのデータを活用し、学習状況の把握や個々に適した支援、授業の見直しに役立てる。

市教委、京大、NECの三者連携については、NEC側が授業を即時に可視化するAI搭載のシステムを提供する。京大・学術情報メディアセンターの緒方広明教授の協力を得て、授業の質の向上につながる情報の種類や分析方法について調査を進める。

実証実験で注目されるのは、学習すべき内容として教員が授業で発した言葉と、それに反応した子供の感情や発話量の関係を分析し、協働学習の進捗(しんちょく)を可視化させる試み。今年10~11月、市立小・中学校2校4学級で、マイクを使って子供の音声を個別に収集・識別する調査をしたところ、発話者を特定した上で、発話の内容や量、発話者の感情や使用キーワードを教員のタブレット端末に表示できることを確認した。このため教員と子供の関係性や学習状況を可視化することが実証実験のテーマになった。

この他、タブレット端末でデジタル教科書を使用する際、端末を見る時間の長さと学習の定着度の関係を分析する。

在田正秀教育長は「従来は教員の知識や経験を生かして授業を実践していた。これからは最先端の技術を用いた証拠を基に授業の改善を進めることが必要だ」と語った。「教育現場でAIを駆使する実証実験は先進的だ」と位置付けるNECの林良司執行役員は、「新たな教育のプラットフォームを、京都発のモデルとして発信したい」と意気込んだ。