アプリの活用で授業に活気 横浜の特支学校が独自開発

「なまちゅーけい」を活用し、鍋を使ったお米の炊き方について教える=12月7日午前9時50分、横浜市、小松亜由子撮影

「みんなでご飯を作れて楽しかったです。一番好きな食べ物が、お米になりました」――。横浜市立上菅田特別支援学校(佐塚丈彦校長、児童・生徒210人)で12月7日、カメラアプリ「なまちゅーけい」を活用した家庭科の授業があり、小5児童はこんな感想を漏らした。

「なまちゅーけい」は、同校教諭が集団授業の生中継を想定して開発したiOSデバイス向けカメラアプリ。テロップの作成・表示や音声中継の機能を備え、テレビ番組の生中継に近い臨場感を演出できるのが特徴だ。

開発のきっかけは、体育で問題視されてきた授業参加の難しさだ。同校に在籍するのは肢体不自由児。1人の子供を運動させるには、多くの教員の介助が必要になる。そのため、他の子供が運動している間は見学しながら待たなければならない。車いすを使う子供は視線が低くなり、時には介助する教員に視界を妨げられ、仲間の活動ぶりを見るのは難しい。

同校は2017年度、パナソニック教育財団から助成を受けて撮影や投影に必要な機材を購入。プログラミングでアプリ開発をした経験を持つ鈴木章裕教諭が「なまちゅーけい」を開発した。鈴木教諭は「市販されているアプリやソフトは売ることを目的としているため、さまざまな機能やイラストを備えている。特別な支援を必要とする子供にはそういった機能がかえって学習を阻害する要因になることも少なくない」と話す。一般のカメラアプリでは、子供が撮影用のボタンを気にしたり、縦にすると画面が小さくなり見づらくなったりする問題点があった。

「ボッチャ」のルールを同時中継しながら説明(上菅田特別支援学校提供)

「なまちゅーけい」を授業に導入した結果、▽他の子供の活動に対し臨場感を持って見学できる▽運動している子供の意欲が上がる▽みんなで応援することで連帯感が生まれる――などの効果が現れた。現在は家庭科など他の授業にも取り入れ、学習活動の流れを分かりやすく伝えたり、互いに観察し合ったりする場面に役立てている。

校内研究の推進役となっている金井大教諭は「子供にとって授業が参加しやすくなり、達成感の向上につながる」と話す。「なまちゅーけい」を使用した体育の授業は今年7月、学習デジタル教材コンクール(学習ソフトウェア情報研究センター主催)で最優秀賞に当たる文科大臣賞を受賞したばかり。今後の展開について「視線入力機能によりコミュニケーションの手段としても活用できるよう、開発を重ねていく」と声を弾ませた。

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