共同研究で知識の共創を 都内で気付き目指す企画

記念イベントでTSを紹介する王戈アソシエイトフェロー(右正面)=12月14日午後1時40分、東京都千代田区、小松亜由子撮影

「チームサイエンスの科学×ABD読書会」キックオフ記念イベントが12月14日、都内であった。主催は科学技術振興機構プログラムマネージャー育成・活躍推進プログラムのプロジェクト「質問する学び場ハテナソンの研究開発および実装試験」。大学教員や研究所員、学生ら約30人が参加した。

チームサイエンス(TS)は学問領域を超えた共同研究のことで、ABD(アクティブ・ブック・ダイアローグ)読書会は参加者が1冊の本を分担して読んでまとめ、発表し、対話を通じて理解と気付きを得る場を指す。記念イベントは知識の共創が狙い。

宮野公樹・京都大学学際融合教育研究推進センター准教授が「科学という方法への構え」と題して講演をし、「TSはビッグサイエンスと並び、現在の科学文化のトレンドの一つだ」と説明し、今の日本の研究は専門性にとらわれすぎていると問題提起した。さらに「専門は壊すものであって、守るべきものではない」と指摘した。

山口生史・明治大学情報コミュニケーション学部教授は「組織コミュニケーション学におけるチームサイエンスの可能性と課題」をテーマに講演。「社会科学と自然科学の研究者がチームを組むなどして多様な人材を集めることで、社会の必要性を敏感に感じ取りながら新しいものを生み出すことができる」と述べ、「例えば『モチベーションをいかにして上げるか』のように、ニーズがあるのに現時点では全く進んでいない研究が、TSの態勢で多角的に取り組むことにより大きく進展する」と語った。

主催側の科学技術振興機構・社会技術研究開発センターの王戈(ワン・ゲ)アソシエイトフェローは、「チームベースで研究に取り組む流れが、米国では大学や研究所だけではなく高校など学校教育の現場にも広まっている。他の国々も潮流に乗り遅れないよう対策を立てる必要がある」と語った。

記念イベントに参加した高校生は「『探究』の授業で植物の研究をしているが、今日の話を聞いて高校のやり方は時代遅れだと感じた。大学だけではなく高校も変わっていかなければ、日本は外国に置いていかれる」と危機感を口にした。