休みやすさと働きやすさ 16日間連続の学校閉庁日

岐阜市教育委員会学校指導課主幹 岸 正法(寄稿)

岸指導課主幹
■16日間の連続休暇?

岐阜市は昨年、8月4~19日の16日間にわたり、市立小・中学校、特別支援学校で学校閉庁日を設定した。これは、教職員の働き方改革を推進するために、岐阜市教育委員会が策定した教職員サポートプランの一環だ。

岐阜市の学校閉庁日は、教職員の一斉休暇期間ではない。教職員が交代で実施している日直を廃止することで、休暇を取りやすくした施策だ。この期間は、会議や補習、研修、部活動などの通常業務を実施せず、勤務を休む場合は特別休暇や年次休暇、土曜授業の勤務の振り替えを使用した。連続する16日間の休暇を生み出すこともできるが、休暇を取らず出勤することもでき、判断は本人に任されている。全国大会が迫っている部活動は、校長の判断により活動を認めるなど、柔軟に対応した。

■学校・地域・家庭の理解と環境整備

長期の学校閉庁日の設定に向けた準備は2017年度にさかのぼる。校長会に閉庁日実施の計画を伝え、課題を検討した後、対応策をFAQにまとめた。4月以降は保護者や地域に対してリーフレットを配布して理解を得るとともに、自治会連絡協議会、PTA会長会、教職員組合、警察署、消防署へ出向き、趣旨を説明して協力を依頼した。

最も心配された緊急時の連絡については、市教委が24時間対応の携帯電話を導入し、保護者に周知して臨んだ。16日間に合計21件の緊急連絡と7件の窓口対応があり、生徒指導案件や交通事故、保護者・地域からの相談に対応した。情報は速やかに学校の管理職へ伝達され、問題にはならなかった。

岐阜市は、本年度からタイムレコーダーによる出退勤集計管理システムを全ての市立学校に設置した。教職員の出退勤が一律ではない閉庁日の勤務の把握に大いに役立っている。

課題になったのは「学割」の発行だ。急に学割が必要となった生徒の保護者から依頼を受けたが、学割の発行には校長印が必要であり市教委では対応できなかった。現在、学校の服務監督者である市教委でも学割発行ができるようにJR東海に要望しているところだ。

■支持率92.4%

閉庁日の実施後、県費負担職員、PTA、学校運営協議会を対象にしたアンケート調査を実施し、実態と意識を探った。

勤務日に当たる10日間で全く学校に来なかった職員は全1905人のうち、約半数の942人に上り、残りの職員は平均1・22日の出勤をしていた。期間中の出勤理由で多かったのは、動植物の世話、郵便物の確認など、短時間の業務である。管理職や主任が当番を割り振り、交代で対応した学校もあった。

閉庁日に対する教職員の評価は大変高く、支持率は92.4%だった(図1)。「仕事のオンとオフをはっきり決めることでやるべきことが精選された」「必要に応じた勤務を心掛けることで、タイムマネジメント力が向上した」という声もあり、勤務に対する意識の改善を感じている。

来年度の実施については、76.4%が同規模の実施を、10.8%が日数の増加を、9.9%が短縮を希望している。廃止希望は2.9%であった。

PTAや学校運営協議会への調査では、職員を上回る支持率を得た。日頃から学校と関わりを持つ関係者からの賛同は、地域と共に互いに支え合うコミュニティ・スクールに取り組んできた成果といえる。

市教委が注目したのは不支持の理由である。支持率が最も低かった職種である栄養教諭・栄養職員(図2)からは、閉庁期間の前後に研修や会議が集中したことにより、これまで休暇を取っていた時期に休むことができなかったという意見が挙がった。閉庁日の廃止を希望する2.9%の職員は、閉庁日を設定するまでもなく、従来も確実に休みが取れていたと推測できる。

また、事務職員は提出が必要な書類作成やメール、郵便物の確認などで出勤するため、休暇取得の増加は難しかった。期間中に改修工事が行われた学校では、管理職の立ち会いがどうしても必要となる場面が生じていた。これらは、来年度に向けて調整が必要である。教諭以外の職員が、休暇を取りやすくすることが改善の要点となる。

■これからの働きやすさ

アンケートで年代別に最も高い支持率を示した20代の教職員(図3)は「気兼ねなく休むことができた」と感想を語った。教員志望者の減少が問題となる中、教員が働きやすいと感じる学校閉庁日の設定は、予算を必要としない方策としても有効である。

現場の教員の笑顔はもちろん、「岐阜市で教師をやってみたい」という声が数多く聞けることを願い、さらなる改善に取り組みたい。