フィンランドに学ぶ2019年の教育 改革成功のカギ語る

フィンランドの教育制度を説明する講師の小林秀行氏=1月7日午後3時30分、東京都港区、小松亜由子撮影

フィンランドの教育制度などについて知るイベント「フィンランドの学校に学ぶ・2019年の生き方と教育」(Learn for Life主催)が1月7日、都内で開かれた。同国の教育の歴史や現行制度、最新動向などが説明され、参加した教員や学生らが意見を交わした。

講師を務めたのは、Learn for Life代表理事の小林秀行氏。2017年1月から18年12月にかけて6回にわたり、同国の小・中・高校や大学など30校以上を視察し、同国開催の教育イベントではワークショップの講師を務め、フィンランド教育輸出大使らと交流した。

小林氏は「フィンランドでは、教員が社会的に尊重されているという印象を強く抱いた」と述べ、同国の概況を「教員は尊敬され人気ある職業で、大学の教育学部は法学部に次いで合格が難しい。教育学部を卒業したら皆教員になるのが当然で、教員には高い給与や短い労働時間、長期の休みが保障されている」と説明。

「教員自身の学びを確保する仕組みも整えられ、『研究機関で学ぶ』などの理由があれば、数カ月にわたって休暇をとることも可能」と、実際に論文を書くために2カ月以上の休暇をとった校長のエピソードを伝えた。

また、同国の教育改革成功のカギとして▽日本でいう学習指導要領の改訂や、学校における成功事例の共有などを、1991年以降は教育文化省ではなく「国家教育委員会」に委ね、学校教員ら教育の専門家が政策判断に関われるようになった▽3Dプリンターが配置され、教育のICT化が進むなど、教育への投資が充実している▽校長や教員の権限が強く、各学校の実態に応じた指導や予算執行が可能――などを挙げた。

参加者からは「日本の教育制度がフィンランドのように大きく変わるまでに50年以上かかるのでは」「幼稚園でも、教育要領が変わって現場が変わったという実感はない」などの意見が出された。

小林氏は「社会的背景や制度が異なるため、日本でそのままフィンランドの教育を取り入れるのは難しい。それでも参考にしたいと感じることは多い」と述べ、「まずは、フィンランドのように『教員も一人の学習者だ』という意識を強く持ち、2019年に何を学ぶか、何を目標にするかを考えるところからスタートすることが重要」と締めくくった。