同一教材でも違う展開に 中学道徳で研究会

質問を重ね生徒の考えを引き出す佐久間教諭

来年度から教科化される中学校「道徳」で、どう授業をつくるか――。東京都中学校道徳教育研究会は2月15日、昭島市立福島中学校(長野基校長、生徒227人)で第49回研究発表大会を開き、都内の中学校教員ら約150人が参加した。公開授業では、異なる教員による同一の教材を使った授業が複数行われた。

文科省の「中学校道徳読み物資料集」に収載されている「仏の銀蔵」を扱った公開授業では、調布市立第四中学校の佐久間理子教諭と品川区立品川学園の戸上琢也教諭(本紙で「中学校道徳科の授業―道徳的判断力を養う―」を連載)が、福島中の2年生の生徒に授業をした。

「仏の銀蔵」は、高利貸の銀蔵が借金の証文をなくしてしまい、それを理由に人々は借金を踏み倒そうとするが、次第に少しずつ返済するようになり、銀蔵も厳しい取り立てをやめ、穏やかになるというストーリー。

佐久間教諭はICTを駆使し、効果音やイラストで題材のイメージを共有。範読後は、生徒にペアで問題と感じた場面を話し合わせた上で、ワークシートに自分の考えを書かせたり、議論させたりした。

「銀蔵はどんなことに気付いたのか」と佐久間教諭が発問すると、生徒は「借りている人の気持ちが分かったから」「悪いことをすれば自分に返ってくると知ったから」と答えた。佐久間教諭は質問を続け、生徒の考えをさらに掘り下げていった。

佐久間教諭は「生徒に臨場感が伝わるように、教材提示を工夫した。授業ではどんどん質問をすることで、できるだけ生徒が自分の考えを話せるように意識している」と話した。

グループで出た意見を全体で共有する戸上教諭

一方、戸上教諭は3色の付箋を用いて、生徒の考えや議論を促した。自分の考えは青色、他の生徒の意見に対する共感は赤色、質問や疑問は黄色の付箋に書き分け、グループで話し合わせた。赤色や黄色の付箋は後で相手の生徒に渡し、振り返りに活用した。戸上教諭は各グループの議論に耳を傾けながら、さらに議論を深めるための問いを発していった。

グループワーク後、戸上教諭はグループごとにキーワードを書き出した画用紙を提示し、それを踏まえて「『自分自身が見ている』とはどういうことだろうか。そういう心の声を感じた人は」と問い掛け、生徒に自分自身の問題として考えさせた。

道徳の教科化を前に戸上教諭は「年間35時間の授業を教科書通りの順番で進めるのではなく、他教科の学習や学校行事とリンクさせて展開させていく必要がある。そうしなければ、『なぜ今このことを考えるのか』が、生徒に伝わらない」と指摘した。