大津市いじめ自殺で判決 加害者の元生徒に賠償命じる

滋賀県大津市の市立中学2年生だった男子生徒(当時13歳)が2011年に自殺したのは、当時の同級生からのいじめが原因だとして、遺族が元同級生3人と保護者に約3850万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が2月19日、大津地裁であった。西岡繁靖裁判長はいじめ行為と自殺との因果関係を認め、元同級生2人に請求のほぼ全額となる3758万円の支払いを命じた。

判決は、自殺の約1カ月前から2人のいじめがエスカレートし、生徒との間に「いじる」側と「いじられる」側という役割の固定化が生じたと指摘。生徒に孤立感や無価値感を形成させたと認定した。

また、この関係が今後も継続するとの無力感、絶望感につながり、死にたいと願う気持ちを抱かせたと言及。こうした心理に至った人が自殺に及ぶことは「一般に予見可能」とし、「生徒の自殺の主たる原因は、2人の元同級生の行為にあったと認められる」と結論付けた。

訴訟で元同級生側は「家庭環境などが原因だった」と主張したが、判決は原因を家庭に求めることはできないとし、2人の保護者については監督義務違反がなかったと判断。残りの元同級生1人についても、関与の度合いが低いとして賠償責任を否定した。

生徒の自殺を巡っては、大津市教委が「いじめと自殺との因果関係は不明」と発表したのに対し、遺族が12年2月、「いじめで自殺したのは明らか」と元同級生らと市を相手取り提訴。市の第三者調査委員会が13年1月、元同級生3人のうち2人から、顔などを殴る、蹴る、ヘッドロックをかけるといった暴行や、口や顔、手足にガムテープを巻き付ける、蜂の死骸を食べさせる、自殺の練習をさせるなどの行為が連日繰り返されたとし、「重篤ないじめ行為は、自死につながる直接的要因になった」と報告したことを受け、市は15年3月、責任を認めて遺族に謝罪し、1300万円を支払うことで和解した。

判決後の記者会見で、男子生徒の父親は「まさかこのような判決が勝ち取れるとは思わなかったので本当に驚いた。細部にわたって事実認定されたが、警察の捜査で押収された大量の証拠と、それを裏付けてくれる生徒がいたことは恵まれていた」と振り返った。

提訴の前に過去のいじめ訴訟の判例を調べ、多くの被害者が敗訴した事実を知ったとした上で、「何とか息子の名誉を回復したいと裁判を起こした。やがて、いじめ被害をなくすために闘うことが、私に託された息子の最後のメッセージだと思うようになった」と語った。

遺族の代理人を務めた稲田ますみ弁護士は教育新聞の取材に対し、「これまでのいじめ自殺を巡る訴訟では、いじめと自殺の関係性が認められても、特別な事情で例外的に起きた『特別損害』とされることが多かった」とした上で、「今回の判決では、一般的に予見可能な『通常損害』だと判断した。このような裁判例は過去になく、画期的だ」と強調。

学校現場や教委に対し「『いじめ』や『いじり』で自殺が起きるというのは想像が追い付かないが、今回の判決で『いじめによる自殺は通常起こりうる』と示された。いじめによる自殺が起きることを大前提とし、手厚い対策に努めてほしい」と訴えた。