現役高校教諭が大阪府を提訴 「長時間勤務で適応障害」

代理人を務める松丸正弁護士

長時間勤務で適応障害を発症し休職を余儀なくされたとして、大阪府立高校に勤務する男性教諭が2月25日、府に約230万円の損害賠償を求める訴訟を大阪地裁に起こした。原告側代理人によると、公立学校の現職教員が過重労働の責任を問う国家賠償法に基づき、自治体に損害賠償請求するのは初めて。

提訴したのは西本武史教諭(31)。訴状によると、西本教諭は民間企業で勤務後、非常勤講師を経て2012年に採用された。16年に現在の勤務校に赴任して以降、長時間勤務が続いていたという。

17年度には世界史の教科担当とクラス担任、生徒指導のほか、ラグビー部の顧問や、オーストラリアでの語学研修の引率も担当。仕事量が増えて1カ月近く休めず、不安感や焦燥感が募り、心身の状態が悪化した。17年7月中旬ごろに適応障害を発症。9月に医療機関で診断を受け、同月~12月と18年2~3月に休職した。現在は復職している。

適応障害など精神疾患の公務災害認定の目安は、発症直前の連続した2カ月間での、月120時間以上の時間外勤務。パソコンの出退勤記録などから、西本教諭の学校での時間外労働は発症直前で月127時間、その前月は155時間に達していたことが分かった。自宅での仕事時間を含めると、さらに増えるとしている。

休職前の17年7月、当時の校長に「いつか過労死するのではと考えると怖いです。体も精神もボロボロです」「オーストラリアに行く前に死んでしまう」などとメールで訴えるメールを送信。同月下旬には「慢性疲労症候群」の診断書を提出したが、語学研修の引率が決まっていたため、校長らに診断書を撤回するよう求められたという。

「校長は長時間勤務を知っていたのに、勤務内容を軽減する措置を取らなかった」とし、「教員の生命や健康を保護する安全配慮義務を怠った」と主張している。

西本教諭は提訴後、実名を出して記者会見を開き、「長時間労働について考えてもらう裁判なので、恥ずかしいことは一切ない。正々堂々と闘いたい」とした上で、「学校は使命感を持っている先生や若い先生に頼り、音を上げられても『頑張れ』と仕事を振ってしまう構造がある。先生の個人的な犠牲の上に学校教育があるべきではない。社会全体で考えてもらい、先生が少しでも働きやすくなってほしい」と訴えた。

代理人の松丸正弁護士は「過労死弁護団全国連絡会議」代表幹事を務め、教員や教委職員の過労自殺・過労死を数多く扱ってきた。教育新聞の取材に対し、給特法により4項目から外れた部活動などは「自主的・自発的な行為」とみなされ、実質的に残業代も支給されないことが多くの教員を追い詰めていると指摘。

「時間外労働は自主的・自発的な側面もあるが校務であり、労働時間として認められるべきだ。心身を損ねたら管理者責任が問われる」と語る。