「自然災害伝承碑」の地図記号制定 災害の教訓生かす

「自然災害伝承碑」の地図記号(国土地理院提供)

先人が伝える災害の教訓を、地図で確認できるように――。国土地理院は3月15日、過去の自然災害の記録を刻んだ石碑などの位置を示す「自然災害伝承碑」の地図記号を、新たに制定したと発表した。2018年の西日本豪雨の被災地で、明治時代にあった大水害を伝える石碑があったものの、周知されていなかったことが背景にある。同院は19年度から各地にある石碑などの情報を収集して地図に掲載し、教訓の普及と防災・減災に役立てたいとしている。

同院によると、18年7月に起きた西日本豪雨災害で多くの犠牲者を出した広島県坂町で、111年前の1907年に起きた水害を伝える石碑があったものの、地域住民は伝承について知らず、「石碑があるのは知っていたが碑文を読んだことはなく、水害について深く考えたことがなかった」などの声が聞かれたという。

2万5千分の1地形図における表示イメージ(国土地理院提供)

同様の事例は全国各地に見られ、津波や火山、土砂などで大きな被害を受けた現場に被災状況を伝える碑などがあっても、人物の功績をたたえる立像などと同じ「記念碑」の記号で表され、周知されていないと問題視。

過去に起きた自然災害の情報を伝える石碑やモニュメントを「自然災害伝承碑」とし、位置や伝承内容について地方公共団体と連携しながら情報収集し、19年6月から同院のウェブ地図「地理院地図」で公開すると決めた。また、碑を表す新たな地図記号は、19年9月から2万5千分の1地形図に掲載を開始する予定。

学校に対しても、▽身近な災害履歴を学ぶ教材として活用し、地理・防災教育を深める▽自然災害伝承碑の情報を生かした防災地図を児童・生徒に作成させ、防災意識を高める――といった取り組みを求めている。

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