学生が虐待受けた経験語る 子供のSOSの届け方を提言

自らの虐待体験を語る太田蘭さん

虐待を受けた私たちの声を聞いて――。さまざまな事情で親との離別・死別を経験したり、児童養護施設で暮らしたりしている学生に奨学金を支給している「教育支援グローバル基金」(橋本大二郎理事長)は3月20日、同基金提供の人材育成プログラム「ビヨンドトゥモロー」に参加した学生らによる提言発表会を、都内で行った。学生らは虐待の実体験を基に、子供のSOSを社会に届ける方法を提言した。

母親から虐待を受け、高校2年生で児童養護施設に入所していた太田蘭さんは、幼いころから母親に殴られたり、髪をつかまれたり、家の外に放置されたりした。しかし、それを虐待と自覚していなかったという。中学生のとき、警察に訴えたが家出として扱われてしまい、母親の元に帰されたこともあった。

太田さんは「私が全て悪いのだと思うようになった。殴られるよりも無視されるのが一番つらかった。『助けて』という、たった4文字の言葉が大人に届いたならば、多くの子供が救われる」と涙ぐみながら語った。

プログラムに参加した学生らによる政策提言では、あるグループは「親からの暴言は外傷がなく、気付かれにくい心の傷になる。小さいころからそれが日常であったなら、虐待を受けていると気付かない」と問題提起。絵本による読み聞かせで虐待を自覚させたり、SOSの発信方法を教えたりする必要があると提案した。

また、別のグループは虐待事件を巡る報道の在り方にも問題があると指摘。「親が悪者であるかのような単純な構図は偏見をつくるだけだ。家庭の問題ではなく社会の問題として、多くの人が関心を持ち、行動に移すことが大切だ」と訴えた。