木村泰子氏「教員は透明人間に」 東大でシンポ

インクルーシブ教育の在り方について語る小国喜弘センター長

東京大学のバリアフリー教育開発研究センターは3月24日、「インクルーシブ教育の新段階」をテーマに、公開シンポジウムを東京大学・弥生キャンパスで開催した。

約150人の教育関係者らが参加。映画『みんなの学校』で知られる大阪市立大空小学校の初代校長・木村泰子氏の基調講演や、ディスカッションを通して、インクルーシブ教育の在り方への理解を深めた。

木村氏は「フルインクルーシブやインクルーシブ教育、発達障害という言葉が、日本の教育現場に氾濫している。言葉だけが先行して、無法地帯になっている」と警鐘を鳴らした。

大空小の校長を退いてからの3年間で全国の学校現場への視察を重ねたと明かし、「47都道府県すべての学校現場を回ったが、残念なことに子供たちに起こっている『事実』に向き合い、特別支援教育を問い直している関係者は非常に少ない」と述べた。

さらに「教員の役目は透明人間になって子供同士をつなげること」だと強調。「障害だけでなく、いろんな違いを持つ人が『対等に向き合える空気』を義務教育の6年間で子供たちが吸えば、多様性を受け入れられる社会を作れる大人になれるだろう」と語った。

同センター長の小国喜弘東京大学教授は「学校はさまざまな差異を持った子供たちが共に学び、時にはぶつかり合い、仲を深める場。誰もが共存できる社会を作る大人になるための原体験だ。果たして学校現場で、障害があるかないかにこだわる必要はあるだろうか」と参加者に問いかけた。