今年の「世界の教員ナンバーワン」 ケニアの男性教員に

グローバル・ティーチャー賞に選ばれたピーター・タビチ氏(バーキー財団の同賞ホームページから)

世界各国の教育関係者らが集まり、毎年開かれる教育の祭典「Global Education & Skills Forum」が3月23日と24日、アラブ首長国連邦のドバイで開かれた。教育界のノーベル賞ともいわれる「グローバル・ティーチャー賞2019」は、ケニアの数学と物理学教師、ピーター・タビチ氏が受賞した。

タビチ氏は、ケニアのケリコ・セカンダリースクール(日本の中学3年生から高校3年生が通う)で教えている。干ばつや飢饉(ききん)が頻繁に起こる地域で、生活環境は厳しい。95%の生徒は貧しい家庭から来ており、孤児も多い。薬物乱用、10代の妊娠、早期退学、若年結婚、自殺も一般的だという。

そうした環境下でタビチ氏は、学校のサイエンスクラブで生徒らの才能を育てることに力を注いだ。全国大会に参加できるほど質の高い、研究プロジェクトに取り組むのを助け、例えば視覚障害者が物体を測定できる装置を考案した生徒らは、ケニアの科学工学フェアに参加。地元の植物を利用した発電方法を考えた生徒らは、英国の王立科学会から表彰された。

また、学力の低い生徒には週末に一対一で授業を行ったほか、彼らが直面する課題を把握するために家庭を訪問して、家族と話し合った。

やがて生徒らは自分自身を信じるようになり、達成感と自尊心が劇的に向上。入学者数は3年間で400人に倍増した、2017年には16人が、18年には26人が大学に進学した。特に女子生徒の活躍がめざましいという。

タビチ氏は「生徒が知識、スキル、そして自信を持って成長するのを見るのが、教員である私の最大の喜び。彼らが社会に出て、創造的で生産的になれるよう、最もワクワクする方法で彼らの可能性を引き出す鍵となることに、大きな満足を感じる」と話す。

授賞式では、ハリウッドスターのヒュー・ジャックマン氏が賞を渡し、ケニアのウフル・ケニヤッタ大統領からもビデオメッセージが寄せられた。

同賞は英国の非営利教育団体「バーキー財団」が、2014年に創設。教育分野で優れた功績のあった教員を表彰する賞で、優勝賞金は100万ドル(約1億1千万円)。今回は世界150カ国、3万件以上のエントリーがあった。日本からは、立命館小学校(京都府)の正頭(しょうとう)英和教諭がトップ10に選出された。