体罰抑止に弁護士らを支援学校へ 教諭の暴行事件で

名古屋市立特別支援学校で男性教師が生徒に体罰を繰り返していた問題で、同市教委は4月11日、定期的に専門家による学校訪問を行うなどとする再発防止策をまとめた。また、市立特別支援学校の教職員約500人に実施したアンケートの結果を公表し、1割以上が「体罰や不適切な行為(虐待)を実際にしたり、見かけたりしたことがある」と回答したことを明らかにした。

名古屋市役所(市HPより)

市立特別支援学校での体罰を巡っては、男性教諭(今年3月に定年退職)が2017年11月、同校校庭で高等部3年の男子生徒(当時18歳)の足首を踏みつけ、太ももを蹴るなどの暴行を繰り返したことが18年2月に発覚。

市教委は同月以降に調査を実施し、18年12月に報告書を公表して、▽バットや棒で床をたたいて威嚇するような指導をした▽トイレの個室にこもっていた生徒に上から水をかけた▽生徒に対して日常的に「アホ」「チビ」「デブ」などと不適切な呼びかけをし、市教委の事情聴取に対して「生徒たちは何とも思っていない」と弁明した――などの行為があったことを明らかにした。

この問題を受け、市教委は今年1月、市立特別支援学校4校の教職員496人にアンケートを実施。4月11日に公表された結果によると、「体罰や不適切な行為(虐待)を実際にしたり、見かけたりしたことがある」という問いに11%が「ある」と答えたという。

また、体罰や虐待の背景(複数回答可)については、最も多かったのが「法令を順守する意識が弱い」(32%)で、次いで「特別支援教育の理解や研修の不足」(31%)、「教員の指導力不足」(29%)の順だった。

生徒指導の際に「威圧的な言動をすることを仕方がないと思う」との問いでは、「そう思う」「どちらかといえばそう思う」が21%だった。

市教委担当者は「子供たちや教員の安全を守るため、児童・生徒の他傷行為に対して、威圧する場合があるととらえている。威圧的な言動に代わる対処法を教員が身に付ける必要がある」と述べ、「体罰や不適切な行為(虐待)を実際にしたり、見かけたりしたことがある」という回答が1割を超えたことについては、「管理職に報告しなければならないという意識付けや、スムーズに報告できるような仕組みが必要だと分かった」と語る。

これらの結果を踏まえ、市教委は有識者会議を設置。同日、再発防止策として、人権問題を専門とする弁護士や臨床心理士ら約10人を「特別支援学校アドバイザー」に任命し、全ての市立特別支援学校を月2回ほど訪問させると決めた。

学校の閉鎖的な空間を解消し、教員の専門性を高め、体罰や威圧的な言動の抑止力にする狙いだとしており、4月中にもアドバイザーを選定して、5月から訪問を始めるとしている。

男性教諭による暴行事件については19年3月、地裁で初公判があり、男性教諭は被告人質問で「行き過ぎた行為だった」と反省を述べた。公判は即日結審し、判決で近藤和久裁判官は「執拗(しつよう)な暴行によって男子生徒の教育を受ける権利が侵害された。真摯(しんし)な教育に尽力する人たちへの悪影響も懸念され、刑事責任は軽視できない」として、求刑通り罰金30万円を言い渡した。