「囲い込み」のいじめ認定 兵庫県多可町の女児自死

「囲い込み」のいじめ認定 兵庫県多可町の女児自死
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兵庫県多可町で2017年5月、小学5年生の女子児童(当時10歳)が自死したことをめぐり、同町がいじめとの関連を再調査するために設置した第三者委員会は4月15日、調査結果をまとめた報告書を公表した。それによると、女子児童を仲間外れにしていたグループが他の児童と遊ばせない「囲い込み」のいじめもしていたという見方を新たに示し、「複雑ないじめを受けている状況を学校は正しく認識できておらず、解決できないと観念させられたのが自殺の最大の要因になった」と結論づけた。報告書によると、グループは16年夏ごろからあり、女子児童は同年秋ごろから仲間外れにされたり、足を強く蹴られたりするなどのいじめを受けた。グループを抜けようとしたが、休み時間にグループの数人に行動を見張られて他の同級生らと遊ぶことができず、ひとりで読書するようになり孤立していった。報告書は、こうした「囲い込み」をいじめと認定し、「許されない行為」と批判した。同時に、学校がこの状況を正しく認識できず、進級時のクラス替えで女子児童をグループから離さなかったために、女子児童がますます無力感に支配されて精神的に疲弊したと指摘。4泊5日の宿泊行事を3週間後に控えた日に、女子児童は「孤立状態の継続」を予想し、「確固たる決意をもって自死を決行した」と経緯を説明した。会見した第三者委の吉田竜一委員長は、異変に気付きながら見守りにとどまった学校の対応に甘さがあったと指摘。仲間外れも囲い込みも明らかないじめだとした上で、「学校は十分認識すべきだった」と語った。第三者委の報告を受けた岸原章教育長は「重く受け止める」とし、町教委が設置した第三者委が18年7月にまとめた報告書について「遺族の思いに寄り添っていない部分があった」と述べた。遺族は今回の報告書について「決意をもって自死に至った経緯を十分理解することができた」としたうえで、「この報告を基に、二度とこのようなことを起こさないよう再発防止策を検討し、実施してほしい」と訴えるコメントを発表した。

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