ICT時代の初等中等教育を審議 小学校に教科担任制も

柴山昌彦文科相は4月17日に開かれた第123回中央教育審議会(中教審)総会で、未来社会(Society5.0)に対応した学校教育や教員養成のあり方を総合的に検討するため、「新しい時代の初等中等教育の在り方について」を諮問した。小学校での教科担任制の導入や教師の働き方改革、教員以外の専門家の、学校教育への登用を含めた教員免許制度の見直し、外国人児童生徒への対応など、諮問内容は多岐にわたっており、初等中等教育の抜本的な刷新論議が本格的にスタートする。

中教審に諮問する柴山昌彦文科相(左)。右は渡邉光一郎・中教審会長

Society5.0は仮想空間と現実空間の融合を通じて、経済発展と社会的な課題の解決を目指す未来社会のコンセプトで、科学技術基本法に基づいて政府が提唱している。総会の席上、諮問内容を説明した柴山文科相は「この諮問はこれからの教育、ひいてはわが国の未来を左右する非常に重要なもの」と意義を強調した。

諮問は①義務教育②高校教育③外国人児童生徒への教育④教員のあり方や教育環境の整備――の四つのテーマで構成されている。

義務教育では、学級担任制と教科担任制のあり方を見直し、児童生徒の発達段階に応じて小学校に教科担任制を導入するかどうかを検討する。あわせて先端技術の活用を踏まえた年間授業時数など教育課程のあり方も議論する。学級担任制を重視する段階と、教科担任制を重視する段階の、それぞれに適した教職員配置や教員免許制度の検討も打ち出した。

また、特定分野に特異な才能を持つ児童生徒や障害のある児童生徒など、一人一人の能力や適性に応じた指導のあり方もうたった。

高校改革では、普通科をはじめとする学科の改革、定時制・通信制課程のあり方、STEAM教育の推進、地域や高等教育機関との連携などを盛り込んだ。

出席した委員からは、「教育現場に情報通信技術(ICT)の導入が遅れている」との指摘が相次いだほか、小学校高学年を想定して「専門性を持った教員が授業を教える教科担任制の導入を図るべきだ」との意見がだされた。また、学校教育の現場に教員以外の専門家が関わる必要性も指摘された。

教科担任制の導入に伴う教員免許制度の見直しや柔軟な運用を求める意見が出される一方、教員免許制度を見直した場合、「どうやって教師の質を担保するのか」といった問題点も指摘された。

審議事項が多岐にわたるため、中教審では事項ごとの分科会設置や、特別部会設置を含めて審議方法を検討し、審議の進展状況に応じて事項ごとに順次答申を取りまとめることも検討している。

諮問内容について、中教審の渡邉光一郎会長は「Society5.0のような、新しい時代にあわせた初等中等教育の課題を、総合的に検討することに意義がある。全体の教育効果をあげ、児童生徒を伸ばしていくために、ICTをどう活用していくか、という視点が重要だ。高校改革の必要性も、外国人児童生徒の課題を明確に位置づけたことも意義深い」と述べた。