「体罰と鍛錬の境界とは」 スポーツ研究の成果を発表

「笹川スポーツ研究助成」の成果発表会が4月19日、都内で開催された。主催は笹川スポーツ財団。2018年度に助成を受けた47人のうち、公立学校教員ら優秀研究賞に選ばれた4人が発表した。

「笹川スポーツ研究助成」の発表会

流通科学大学の内田遼介専任講師は「運動部活動場面における体罰と鍛錬の境界」と題した研究について発表した。

たたく、蹴るなどの明らかな体罰と異なり、ダッシュの繰り返しなどは「勝つ可能性が高い試合で負けた」といった背景によって、体罰か鍛錬かの判断が分かれると指摘。鍛錬のつもりで実施した行為が重大事態を招いた過去の事例を示し、「当事者同士が暗黙の了解で進めるという現状から、開かれた環境で第三者が判断する仕組みへ移行する必要がある」とした。

研究ではオンライン調査を実施し、「筋トレ」「基礎練習の繰り返し」などの行為について、どのような背景で体罰として認識するか判断させた。

約1千人から得た回答を分析した結果、部活動での態度やミスなど生徒のふるまいに起因する場合は鍛錬として容認される度合いが高かったのに対し、「指導者への口答え」など主に指導者側の認識で実施された場合には体罰とされたという。

加えて男性よりも女性の方が、また、体罰を受けた経験がある人よりもない人の方が、体罰と捉える傾向が高かったとして、「今後は調査を拡大し、体罰防止研修などで指導者自身にも回答させ、自身と一般の人々との間にどれほどのズレがあるかを理解させることで、体罰防止に貢献できるか検証したい」と述べた。

発表する東京都板橋区立蓮根小学校の鈴木健一主幹教諭

東京都板橋区立蓮根小学校の鈴木健一主幹教諭は「トップアスリートによる特別授業を取り入れたオリンピック・パラリンピック教育が児童に与える効果の検討」と題した研究について発表。「都教委主導でオリ・パラ教育が進められているが、トップアスリートによる講演や実技指導は児童への効果が検証されていない」と指摘。

そこで、男子体操のメダリストを招いた、5年生の開脚前転などの特別授業を、学級ごとに「単元の前(前群)」「単元の中盤(中群)」「単元の後(後群)」に分けて実施し、それぞれ「授業評価」「運動技能調査」「児童相互の声がけ」「自己評価」の四つの観点から効果を検証したという。

「全ての群で児童の体育を楽しむ意識や運動技能が高まった」とした一方、「後群では助言し合う傾向が顕著に見られ、他者との関わりにおける自己有用感も微増した」と述べ、「終盤に特別授業を設定することで、単元を通じて学びへの意識が高揚し、対話も促進され、自尊感情が高まる」と結論づけた。

前群についても「特別授業で身に付けた動きや学習方法を、その後の単元で活用していた」と一定の評価をしたが、中群では「特別授業までに課題の技を達成しようという焦りがあった」と語り、対話も少なかったとした。

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