「新時代の教育」を語り合う 5月19日、東大五月祭で

「令和」がスタートして間もない5月19日、今年も東京大学五月祭で日本最大級の教育フォーラムが開催される。14回目を迎える今回は「新時代の教育と求められる人物像」をテーマに、教育界のフロントランナーと学生たちが忌憚(きたん)なく議論を交わす。同フォーラムを主催する、NPO法人日本教育再興連盟(ROJE)関東学生事務局の小嶋康禅さん(早稲田大学人間科学部2年)と、椎名愛さん(早稲田大学文学部2年)に、今回のフォーラムの意図と意気込みを聞いた。

プロジェクトリーダーの小嶋康禅さん(左)と椎名愛さん
――今回のフォーラムの概要は。

椎名 東京都千代田区立麹町中学校の工藤勇一校長、慶應義塾大学教授で2020年に開校予定のi専門職大学学長に就任予定の中村伊知哉氏による基調講演と、パネルディスカッションが中心になる。パネルディスカッションには両氏に加え、ROJE代表理事を務める教育者の陰山英男氏、鈴木寛東京大学/慶應義塾大学教授が登壇する。

今回のテーマ「新時代の教育」にふさわしい、新しい試みに率先して取り組んでいる方々と共に議論を深めていく。私も学生代表として加わるので、学生のほか現場の先生方など、来場者の思いも代弁できればと考えている。

小嶋 開催に当たって昨年の12月にプロジェクトを立ち上げ、メンバー内で話し合いを進めてきた。年明け以降は企画、広報、会場運営、取材・渉外など各班に分かれ、リーダーである自分が全体を統括する形で動いている。

全員学生なので、最初は何をするにも戸惑い、苦労もあったが、プロジェクトを通してメンバー同士が固い絆で結ばれ、各人の成長の幅も大きく、それがモチベーションにもなっている。

――今回のテーマ「新時代の教育」について。

小嶋 学習指導要領の改定をはじめ、ICT導入やEdTechの普及など、教育界はいま大きな変化を迎えている。ただ、ROJEの活動を通して見た多くの教育現場は、その変化についていけていない。「ICTはいいものだ」という気運に押されてひとまず導入はしたものの、うまく活用できないまま高い請求書がきて終わり、という学校の現状を見て、いま一度教育の本来の目的に立ち返る必要があると考えた。

Society5.0やシンギュラリティという言葉で語られる未来社会では、どういった人間像が求められるのか、同時にそれに対して、教育や学校は何ができるのかを、元号が変わる節目の年にもう一度皆で考えたい。今回のテーマには、そうした思いが込められている。

昨年度の様子
――毎年盛況だが、昨年の来場者は。

小嶋 860人の方が来場され、立ち見も出た。教員、学生のほか、主婦や大学教授、中学2年生まで幅広く来ていただいた。

椎名 最近は「2020年に教育が変わる」と報道される機会が増えたからか、教育に対して強い思いを持つ人が増えているなと肌で感じることが多くなった。

――当日はどんなディスカッションをしたいか。

椎名 今後の社会変化を展望した上で、小学校、中学校、高校、大学はそれぞれどう変わっていくべきか、教員をはじめ子供たちを取り巻く人々はそこで何をすべきか、先生方の意見を聞いてみたい。最終的に一つの答えを提示できればいいと思っている。

小嶋 現状とのギャップを無視して話を進めてもその場限りで終わってしまうので、学生側からは理想論でなく「それは実際にできるの、できないの?」という現場目線で切り込んでいきたい。

一つの学校がどんなにいい取り組みをしていても、周りが変わっていかなければその学校だけで終わってしまう。個人的には、このフォーラムを一つの指標にしたい。来場してくれた人たちがゲストと一緒に考え、参加者全員が同じ方向に進んでいければ、教育の中にも何か変化が生まれるのではないかという思いがある。その進むべき方向の指標というか、矢印になれたら。フォーラムがその変化のスタートの場所であってほしいと考えている。

――ROJEでは、他にどのようなプロジェクトに関わっているのか。

小嶋 「中高まなびプロジェクト」(まなプロ)という、大学生が中学校と高校で授業実践に取り組むプロジェクトに加わっている。先日も中学校3年生に授業をしたが、つくづく思うのは、教壇に立つことがいかに難しいかということ。

週に一度、1時間の授業をつくるだけでも難しく、また実際に教壇からクラスを見渡してみると、意外なほど生徒の目はさめている。毎日の授業に加えて、40人のクラスをまとめるために、教師はいったいどれだけのことをしているのかと驚くばかりだった。改めて教師の忙しさ、そして大変さを実感した。

椎名 「EDUPEDIA」という、教員に役立つ情報を発信するウェブサイトの運営に関わっている。私は教壇に立った経験はないが、まなプロの当日スタッフとして生徒と話したり、授業を取材したりするたびに、教師という仕事の難しさを感じる。

――来場者へのメッセージを。

椎名 教育は一部の人たちだけのものではなく、誰にとっても身近で、未来をつくることができるもの。今回のフォーラムが教育への意識を変える契機になって、変革がしやすい社会につながっていけばいいなと考えている。これから教育に携わろうとしている若い人はもちろん、変わろうとしている学校を支える地域の方々や保護者にも、ぜひ来ていただきたい。

小嶋 教育と新時代、社会、人材というテーマは一人で考えるには難しく、特に学生だと身近な人と話すだけでは納得する答えを得づらいところがある。今回のフォーラムは参加全員で考え、全員で悩んで、それぞれが一つの答えを出していくという形。800人の大きなつながりができるので、そこから何かを始めてもいい。これまで教育に関心がなかった人には考えるきっかけになり、もともと興味を持っていた人にとっては考えが深まり、視野が広がる機会になると思う。どの方にもぜひ、参加していただきたい。

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ROJE五月祭教育フォーラム2019

“教育改革”のその先へ~新時代に求められる人材とは~

【日時】5月19日(日) 午後2時~午後5時
【会場】東京大学本郷キャンパス 法文1号館(東)2階法25番教室

参加無料。申し込みは事前申し込みフォームから。