IT企業がカリキュラム開発 国内初の「P-TECH」

高校段階からのIT人材育成を目的に、IT企業がカリキュラム開発や人的支援をする「P-TECH」が、日本でも導入されようとしている。4月23日、東京都教育委員会と日本IBM、日本工学院八王子専門学校を運営する片柳学園が、IT人材の育成に向けた包括連携協定を締結。4月24日、カリキュラム開発を担う日本IBMと企業教育研究会によるプロジェクトチームが、教育新聞の取材に応じた。

日本IBMと企業教育研究会による「P-TECH」のプロジェクトメンバー

「Pathway in Technology Early College High School」の頭文字から取られた「P-TECH」は、IT企業が自治体や学校と連携し、高校とコミュニティ・カレッジ(専門学校や短期大学に相当)の授業内容を統合したカリキュラムを提供する教育モデル。海外では誰でも入学でき、学費は無償となっている。

パートナーとなったIT企業はカリキュラム開発だけでなく、インターンシップを実施したり、社員がメンターとなって生徒の進路や学業の相談に乗ったりする。また、卒業後はパートナー企業の採用試験を優先的に受けられる資格も与えられるという。

2011年に、当時、IT人材の不足が深刻だった米国で始まり、現在では導入予定も含めて世界13カ国・地域の110校で展開されている。アジアでは韓国や台湾、シンガポールに「P-TECH」の学校がある。

同プロジェクトチームによると、日本初の「P-TECH」によるカリキュラム開発は、都立町田工業高校と日本工学院八王子専門学校で着手。

対象となるのは、総合情報科を持つ町田工業高校の情報システム系列に所属する生徒で、同校卒業後には、日本工学院八王子専門学校に進学し、高校3年間と専門学校2年間の計5年間の統合カリキュラムを学ぶ。

現在、2022年度からの正式導入を目指し、日本IBMの社員が両校のカリキュラムの分析を進めている。また、19年度中は、町田工業高校の情報システム系列の2年生生徒3、4人に対して1人の割合で、同社社員がメンターとなり、年5回のメンタリングセッションを実施し、進路や学習の相談などにのる。

カリキュラム開発やメンターとして両校に関わる同社の社員は、全て社内公募に応じたボランティアで、年齢やキャリアも多様なITエンジニアで構成されているという。

これらの教育的手法の導入や効果測定、学校との調整などの運営は、連携する企業教育研究会が担う。

同研究会で「P-TECH」を担当する竹内正樹氏は「企業の人たちがこんなに関わってくれるのはありがたい。メンターとのやり取りを通じて、生徒も今やっている勉強が将来、どんな役に立つのかが実感でき、主体的な学びにつながるのではないか」と期待を寄せた。

日本IBMの小川愛部長は「これまでの企業による教育支援は短期的で、点から面に展開するような長期的な支援は難しかった。改革意識のある教育委員会と連携し、『P-TECH』を日本全国に広めていきたい。そのためにも、最初の事例で生徒の学業や職業意識の変化など、さまざまなエビデンスを示していく必要がある」と熱を込めて語った。

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