「大幅増員は見通せない」 前働き方改革部会長が講演

4月27日に開催された「学校とICTフォーラム」では、「学校における働き方改革の論点と課題 ―中教審の審議と答申」と題した特別講演があった。今年1月末まで中教審副会長を務め、「学校における働き方改革特別部会」の部会長として、同月に示された「公立学校勤務時間の上限に関するガイドライン」作成の中心的役割を担った、放送大学の小川正人教授が講演した。

特別講演する小川正人教授

小川教授は冒頭で「ガイドラインに対し、学校現場でさまざまな疑問や批判が出されている。その批判を受け止めていることを伝え、疑問に答えたい」と語った。

まず、「教員の負担軽減の本丸は、教員の大幅増員や定数の大幅改善だったはずだという指摘を受ける」と述べ、「政府や財務省は少子化の中、教員定数の削減に向けて、すでにかじを切っている。消費税増税分は幼児教育や高等教育に向けるとし、これ以上を教育に割くことに強い抵抗を示した」と説明。「今後も大幅増員は見通せないだろう」と語った。

「今後、定数改善や他の専門・支援スタッフの質確保、人数増をどこまで充実できるかは、10期の中教審にかかっている」と述べ、「授業時数についても、持ち時間数と負担感や超過勤務時間との相関関係では、小学校で20~21コマ、中学校で18~19コマを境に有意差があるという分析が示されている。全日中からは19コマ程度が適当だという提言もあった。そうした授業時数のあり方も今後議論される」とした。

また、「『ガイドラインには法的拘束力や罰則規定がなく、すぐに形骸化する』という指摘があるが、残念ながらそれは総務省の管轄」と述べ、「同省が今後どのような検討をしていくか注目したい」と語った。

加えて、時間外勤務の上限規制を設け、勤務時間管理のあり方を見直したことについて、「業務の持ち帰りなどサービス残業が増えるだけで、長時間勤務の実態は改善されない」「月45時間を超えても時間外勤務手当や代休の措置はなく、ただ働きの仕組みを温存させた」「超勤4項目に関する上限の設定がない」といった指摘があると説明。

「私見を言えば、給特法を廃止すべきだと考えるが、部会長が持論を押しつけるわけにはいかない」と語り、「超勤4項目以外に超勤命令ができる業務を増やし、教職調整額を増額するという案があったが、約1兆円の追加財源が必要だと分かり、断念した」と語った。

その上で、ガイドラインの意義を「超勤4項目以外での時間外勤務を、『在校等時間』として時間管理の対象にした。これまで『教員の自発的行為』として隠されてきたものが明らかにされるようになった。現状は変わらないが、公的データとして残し、軽減に活用される」と強調。

「また、勤務時間の削減が進まない場合には、原因を明らかにし、改善方策を考えることを、自治体や教委、校長の行政上の責務とした。時間外勤務をただ働きとして放置させない制度だ」と述べ、「1年単位の変形労働時間制など、新しい制度を検討する可能性につながる。ICT化も一層推進されるだろう」と展望を述べた。