記者の仕事を教職に生かす 理科大で独自授業

東京理科大学は5月8日より、教員志望の学生を対象に、新聞記者の取材方法や記事執筆などの仕事術を学ぶ教育プログラムを開始した。受講者は新聞記者の業務を体験し、自分の考えを整理して他人に伝える力や、相手の言葉を理解する力を育む。

実際の新聞記事を題材にしたワークショップをする学生ら

同プログラムは聴く力や書く力、コミュニケーション力など、教員と新聞記者に求められる能力が共通することに着目。同大の井藤元・教職教育センター准教授の監修の下、毎日新聞社が開発した。

複数の新聞記者へのインタビューを基に、▽ポイントを意識して取材・記事執筆する▽理解と同調の違いを意識し、取材相手には共感しながらも距離をとる――などと記者職のポイントを整理し、それらを踏まえ大学生向けにカリキュラムを組み立てた。

全8回の講義はプロのアナウンサーが講師を務め、学生はインタビュー記事や事件記事の取材手法、書き方を学ぶ。

カリキュラムの後半ではVRを使った取材体験のほか、実際にサッカーチームを取材して特集記事を執筆するという。

8日の初回講義では「見出し」のつけ方を通して、多角的な視点から物事を捉えるコツを学んだ。学生は昔話「桃太郎」を題材に、桃太郎や鬼など複数の登場人物の視点から見出しをつけることに挑戦。

さらに終盤では今回の講義を新聞記事にすることを想定し、一人一人が見出しを考えた。

学生らは「驚き、見出しの重要性」「記者の実態はいかなるものか」「多角的な視点を」など、思い思いの見出しを披露した。

受講した学生は「良い教員になるためには、多角的な視点を持つことが大切。新聞記者がさまざまな立場の読者の視点を持ち合わせているように、教員も多様な児童生徒のことを考える必要があると改めて感じた」「授業や学級活動で児童生徒の心をつかみ、興味を引く力を持つ教員になりたい。今回の講義で生かせるものがあると感じた」と感想を語った。

井藤准教授は「教員は聞くこと、書くことから逃げられない。記者のテクニックだけでなく、自分自身や他者との向き合い方を学び、最終的には自分しか取材できない記事を仕上げてほしい」と話した。