子供の貧困、ふたり親世帯で悪化 有識者会議で報告

「子供の貧困対策に関する大綱」の改訂作業を進めている、内閣府「子供の貧困対策に関する有識者会議」は5月13日、第12回会合を開いた。独立行政法人労働政策研究・研修機構の周燕飛主任研究員が、子供の貧困と親への就業支援の関連性について、シングルマザーなどひとり親世帯の貧困はこれまでの政策的な支援で改善してきているが、ふたり親世帯では逆に貧困が悪化しているという現状を示し、対策の重要性を訴えた。

外部有識者の説明を受けた、子供の貧困対策に関する有識者会議

周氏は、ひとり親世帯では子供の貧困率が2003年の58.7%から15年には50.8%に改善した一方、ふたり親世帯では子供の貧困率が03年の10.5%から15年には10.7%に悪化していることをデータで明示。貧困児童数の7割以上はふたり親世帯が抱えている、という実態を指摘した。

そのうえで、周氏は、貧困対策の対象として、ひとり親世帯とふたり親世帯の垣根を取り除き、「低収入・子供あり」という枠内で同等な支援を行っていくべきだ、と述べた。

また、子育てしている貧困世帯が期待する公的支援について、児童手当の増額を求める声が全体の60.2%に上っているとの集計から、「就業支援だけでは貧困から脱出できない。就業支援にプラスして、児童手当の増額といった経済支援など、複数の支援をパッケージで組み合わせることが有効だ」と指摘。米国で行われている勤労所得税額控除の検討なども提案した。

有識者会議ではまた、慶應義塾大学の駒村康平教授が、世代間の貧困の連鎖をめぐる国際比較で、日本は先進国の中で米、英、仏に次いで高い水準にあることや、幼児期に知能テストの得点が高くても親の貧困によって教育機会に恵まれないと、成長するうちに子供の知能テストの点数が下がっていく、といったデータを示した。

こうした報告を受けて、有識者会議では、子供の貧困対策の方向性について意見を交換した。

出席者からは「子育てをしているひとり親が精神的に病んでしまう例が多い。ひとり親のメンタルヘルスに配慮をするべきだ」「障害のある子供を抱えて働くことができないため、貧困から抜け出せない家庭が多い。障害や病気の子供を抱える世帯を支援する視点が必要だ」といった意見が出された。