P-TECH本格始動 国内初導入の東京・町田工業高で

日本におけるP-TECHが本格始動――。高度な情報技術を習得できるカリキュラムをIT企業が開発し、学校に提供する「P-TECH」を国内で初めて導入する、東京都立町田工業高校(山之口和宏校長、生徒数477人)で5月15日、カリキュラムを開発する日本IBMの社員による、生徒への「メンタリングセッション」が初めて行われた。

生徒からの質問や相談に答える日本IBMの社員ら

生徒らはITの最前線で働く社会人との会話を通じて、将来のキャリアについてイメージを膨らませていた。

東京都教育委員会は今年4月、日本IBM、日本工学院八王子専門学校を運営する片柳学園と、IT人材の育成に向けた包括連携協定を締結。日本で初めてのP-TECHのカリキュラム開発に乗り出した。

実証先となる町田工業高校情報システム系列では、今年度、日本IBMによる同校のカリキュラム分析に着手するのと同時に、同社社員が生徒と対話を重ねながら成長を促すメンタリングセッションを複数回予定している。

この日のメンタリングセッションでは、生徒は3~4人のグループに分かれて、普段の勉強やITの仕事、テクノロジーなどについて、付箋に質問を記入。各グループでメンターとなる同社の社員は、生徒の疑問を掘り下げ、仕事で得た経験を語ったり、アドバイスしたりした。

メンタリングセッションを受けた同校2年生の田村拓実さんは「社会で情報システムがどのように役立つか、最新のテクノロジーなど、学校の授業だけでは分からないようなことを知ることができた。メンターとも親近感を持って、いろいろな質問ができた」と感想を述べた。

生徒の質問に応じるクノーツァー氏

メンターの一人で、同社のセキュリティー事業本部でプロジェクトマネージャーを務める斎藤指揮さんは「工業高校を卒業し、スキルアップと転職を重ねてきた私の経験から、伝えられることがあるのではと思い参加した。生徒からは『進学せずに働きながら勉強ができるか』という質問があった。学歴や職歴に関係なく、目指すものがあれば人生は何度でもやり直せる。勉強することが仕事だったり、仕事が勉強につながったりすることを伝えていきたい」と話した。

同校でのP-TECH導入を日本IBMに提案した寺島和彦教諭は「生徒の意欲をどう引き出すかで試行錯誤をする中、IT企業の社員から刺激を受けられるP-TECHと本校の課題意識が一致した。生徒の様子を見ていると、学習に対する目的意識が高まっていると感じる。転換期にある工業高校の教育で新しいモデルを示したい」と意気込んだ。

この日、視察に訪れていたIBMの社会貢献活動担当役員の一人、ジェーン・クリストフ・クノーツァー氏は「IBMの社会貢献活動として、生徒がテクノロジーに関するスキルを身に付けることを支援するため、世界13カ国・地域でP-TECHに取り組んでいる。今日はとても活発な議論が行われていた。ぜひ、P-TECHを活用してほしい」と生徒に語った。