全高長総会 新会長に都立西高の萩原校長

全国高等学校長協会(全高長)は5月22日、第72回総会・研究協議会を、さいたま市の大宮ソニックシティホールで開いた。全国の高校長約2500人が参加。総会では新会長に東京都立西高校の萩原聡校長が承認され、新体制がスタートした。

新会長就任あいさつをする東京都立西高校の萩原聡校長

研究協議会では、「新たな学びプロジェクト」を展開した福岡県立福岡高校の合屋(ごうや)伸一校長と、被災地からの教育モデルの発信に取り組んだ宮城県仙台第三高校の佐々木克敬校長が発表した。また、脳科学者の茂木健一郎氏が講演した。

就任にあたって萩原校長は、高校教育の現場には新学習指導要領の本格実施に加え、高大接続や入試改革、民間検定導入の検討、教員の働き方改革、部活動改革など、多くの課題があると強調。

「課題解決に向け、全高長での議論や共通理解を踏まえ、会長として理想の具現化に努める」と抱負を述べ、会員・組織の連携強化を呼び掛けた。

研究協議会で登壇した福岡高校の合屋校長は、「ICTを活用したバラエティーあふれるオリジナルのアクティブ・ラーニングの開発」をテーマに、学校を挙げて研究した成果を発表。特に、教員とEAS(英語活動指導員)が協力し、理科や公民科などさまざまな教科をオールイングリッシュで実施する「イマージョン授業」が高い成果を上げたと説明した。

電子黒板と生徒のスマートフォンを活用し、リアルタイムでの4択クイズや効果的な資料提示を取り入れ、自然科学分野の探究や地球規模の課題研究に取り組ませたといい、「教科横断型授業改善のモデルになった」と強調。

生徒アンケートでも、92%が「英語学習に対する意欲が増した」としたほか、98%が「生徒の発言・活動が盛り込まれ、考えさせる授業だ」とするなど、主体的に学ぶ力の育成につながったと述べた。

講演する脳科学者の茂木健一郎氏

仙台第三高校の佐々木校長は、前任校の宮城県多賀城高校での防災・減災学習について発表。生徒が主体となって取り組んだ活動として、▽防災マップの作成▽津波波高標識の設置▽欧米からの高校生に被災状況を伝える国際ボランティア▽防災ワークショップの開催▽世界防災フォーラムや高校生サミットなどでの世界に向けた発信――などを紹介した。

講演した脳科学者の茂木健一郎氏は、冒頭で「大学の入試問題を見ると、いまだに重箱のすみをつつくような出題をしている」と述べ、「高校生が大学合格を目指すような学習をしていては、いずれこの国は滅びる」と指摘。「脳科学の観点から、人間は1万時間ひとつのことに打ち込めば、その道の達人になれる。カリキュラムにとらわれすぎず、教員の特性や人柄を生かし、この国の将来に必要な人材を高校段階から育ててほしい」と強く訴えた。