市立尼崎高バレー部の体罰は「隠ぺい」 市教委が認定

強豪校として全国的に知られる兵庫県尼崎市立尼崎高校男子バレーボール部で、コーチを務める講師が、部員を平手打ちしてけがをさせた問題を巡り、同市教委は5月21日、会見を開き、同部の監督が部員のけがについて報告しなかったことを「隠ぺいに当たる」と認定した調査報告を明らかにした。監督による体罰も確認されており、「体罰を容認する空気があった」として、全校でさらに調査を進めるとした。

市教委によると、同部でコーチを務めるのは男性臨時講師(28)で、4月29日、同校体育館での練習中に、3年生部員を10回以上平手打ちした。部員は叱責(しっせき)に「はい」「はい」と返事をしながらたたかれ続けた後、ひざから崩れ落ち、20~30分間意識を失った。講師は、別の校舎にいた男性監督(51)を呼びに行ったが、講師も監督も救急搬送などの適切な措置を取らなかった。

部員は意識が戻った後、休息をとってから帰宅。保護者に「頭が痛い。耳が聞こえにくい」と訴え、救急搬送された。部員の保護者は30日、左耳の鼓膜の裂傷など全治2週間のけがを負ったと監督に連絡したが、監督は体罰があったことを学校に報告しなかった。部員は5月2日から練習に復帰した。

7日、匿名の電話が学校にあり、校長が体罰を把握。校長らが監督と講師に聞き取りをしたところ、体罰を行った講師は部員のけがをメモに記して教頭に提出したが、監督はけがについて触れなかった。教頭は監督のメモを基に「けがはなかった」とする報告書を作成。校長から市教委に提出された。

市教委は部員や保護者に直接確認しないまま、9日に会見を開き、体罰を公表。講師が平手打ちした理由を「ボールの片付けで緩慢な態度があった」とし、「部員にけがはなかった」と説明した。

会見の内容を知った部員の保護者は同日中に負傷を指摘。翌10日、けがの診断書を確認した市教委が学校にただすと、監督と教頭は「保護者から大ごとにしないでほしいと言われた」と釈明したが、部員の保護者はこの発言を否定して抗議した。

市教委は再調査後の15日、改めて会見を開き、部員にけががあったことを確認して謝罪した。講師が平手打ちした理由についても「他の部員に聞き取りをしたところ、『(体罰を受けた部員は)後輩を指導していて、ボールが転がっているのに気付かなかった(ため、片付けができなかった)』と指摘があった」とした。

20日の会見では、監督が講師の体罰を校長らに報告する際、部員がけがをしたことについて言及しなかった行為を「隠ぺい」、報告書を作成した教頭の行為を「限りなく隠ぺいに近い」と判断。校長についても「実態を把握する職務を適切に遂行しているとはいえない」とし、極めて不適切な対応とした。

また、監督についても部員の髪の毛をつかむ体罰をしていたと認定した。

同校の桑本広志校長は22日、市教委の調査報告を受けて記者会見し、「体罰があると思ってもいなかった。本当に申し訳ない」と謝罪した。また、体罰に気付かなかった原因について、「顧問に部活動を任せきりだったため」と釈明した。

市教委は同校で他に体罰がないか調査しており、18日、硬式野球部でコーチを務める男性臨時講師(25)が体罰を認めたと発表。詳細は調査中だとした。

同校は普通科と体育科を備え、複数の部活動で全国大会に出場している。男子バレー部は2018年の全国高校総体(インターハイ)で初優勝した強豪。硬式野球部も全国高校野球選手権大会の出場経験が2度ある。