子供の問題行動をどうなくす? 内外の先端研究を報告

国内外の研究者が参加する「教育とセラピーのための最先端技術に関するシンポジウム」が5月23日、都内で始まった。主催は東京大学大学院総合文化研究科の開(ひらき)一夫研究室で、開催期間は2日間。1日目の23日は約100人が聴講する中、教育やセラピーの場面における学びに関する先端的な研究について、講演やポスター発表が実施された。

東京大学で開催された「教育とセラピーのための最先端技術に関するシンポジウム」

シンポジウムの冒頭であいさつした開教授は「人間の認知的活動の解明を目標に研究しており、成果を現実社会にフィードバックすることを重視している」と語った。

特別講演した米フロリダ大学のシェイラ・M・アイバーグ名誉教授は、「PCITの紹介とPCIT研究の進化」をテーマに発表。PCITは同名誉教授が提唱した親子相互交流療法 (Parent-Child Interaction Therapy)の略。

同療法では、子供の問題行動を解消するには子供にのみ働き掛けるのではなく、親子の相互交流の質を高める必要があるとして、親子の関わりを教員や心理療法士など第三者が観察。子供の発達段階に応じた遊びに親が参加し、「子供主導」「親主導」の2パターンに分け、それぞれで親がどう働き掛ければいいか第三者が指示する。

「子供主導」では、親は楽しみながら、▽賞賛▽子供の言動のまね▽子供の行動の説明――など肯定的な活動だけを行い、質問や命令、批判はしない。不適切な行動は無視し、攻撃的になったら遊びをやめる。

「親主導」では、親は感情的にならないように心掛け、分かりやすい指示をする。子供が従えば賞賛して遊び、従わない場合は警告して、それでも従わないときには「タイムアウトの椅子」に移動させる。

特別講演するフロリダ大学のシェイラ・M・アイバーグ名誉教授

指示の仕方についてアイバーグ名誉教授は「『~して』といった直接的な指示に対して、『~すべきだと思わない?』などの間接的な指示は4割程度しか効果がない」と説明。「重要なのは、叱責(しっせき)や懇願をしないこと、そして諦めないことだ」と述べ、実際に反抗挑戦性障害の治療を完遂した事例などを紹介した。

また、「かつては『家庭で子供の問題行動がなくなったら学校で悪化する』という説が主流だったが、同療法を終えた子供は、学校での問題行動もなくなった」と説明し、2年後の調査でもその効果が確認できたと語った。加えて、「ADHD(注意欠陥多動性障害)や自閉症スペクトラムなど発達障害がある子供や、韓国など異文化圏の子供でも成果があった」と述べた。

名古屋大学の間瀬健二教授は「eコーチングと共生インタラクション」をテーマに講演。人間によるコーチングと、機械によるeコーチングの役割をどのように分けるべきかなどの研究を実証的にしているといい、eコーチングの役割に「課題管理」「見守り」「比較・自動診断」などを割り当て、人間によるコーチングの役割を「動機付け」「励まし・カウンセリング」「評価・分析」などとすると、認知能力に効果が見られたと報告した。