義務教育に通信制導入案 柴山文科相が懸念を表明

柴山昌彦文科相は5月24日の閣議後の定例会見で、政府の規制改革推進会議のワーキンググループで義務教育における通信制の導入が提案されたことについて「義務教育の質を確保するという観点から、いかがなものか」と述べ、懸念を表明した。

義務教育での通信制導入について懸念を表明した柴山文科相

教育における先端技術の活用を検討している内閣府の規制改革推進会議「投資等WG」では、5月23日の会合で、複数の出席者から、ICTなどの先端技術を活用し、通信制高校のように自宅などで個別に学習を進める仕組みを小・中学校に導入することが提案された。

これを受け柴山文科相は「義務教育段階は、学力、意欲、家庭環境などが多様な児童生徒が在籍している。子供の発達段階を踏まえても、教師が一人一人の特性や状況などをきめ細かく理解して指導する必要がある。Society5.0の時代に向け、先端技術を活用することはもちろん大切だが、教師や児童生徒による対話的で協働的な学びを実現することも大事だ」と強調。

その上で「通信制高校のような通学を前提としない通信制を小・中学校に導入することは、教師と子供あるいは子供同士が向き合う機会を限定してしまうのではないか。義務教育の質を確保するという観点から、いかがなものかと考えている」と指摘した。

文科省では昨年11月に「新時代の学びを支える先端技術のフル活用に向けて~柴山・学びの革新プラン~」を公表し、義務教育における遠隔教育の普及などを進めている。柴山文科相は「通学が困難な生徒に対し、遠隔教育を利活用することは推進しているが、遠隔教育の利活用と義務教育段階の通信制の導入は違う。先端技術の利活用の在り方について、今後も政府に対し、文科省の考え方をしっかり伝えていきたい」と述べた。