元日本代表や研究者らがシンポ 「ゆるい部活」など議論

「日本の部活の将来を考える」と題したシンポジウム(リーフラス主催、東京都杉並区教委後援)が5月27日、都内で開催された。行政職員による講演や、元サッカー日本代表を交えたパネルディスカッションが実施され、教員ら約80人が聴講した。

講演する東京都杉並区教委学校支援課の小林淳係長

講演した杉並区教委学校支援課の小林淳係長は、同区教委が2013年から展開している「部活動活性化事業」について説明。同事業は区教委の委託を受けた企業が週1~2回、コーチを派遣するもので、区立中全23校の運動部約150部のうち50の部に派遣し、不在時にはコーチが作成した練習メニューに従って活動できる仕組みにしていると語った。

背景には生徒数の減少があるという。区立中の生徒数が1980年代と比べ約1万人減の7千人になったのは、少子化のほか、私立中や公立中高一貫校への流出が原因だと説明。「部のリーダーになれる体力や学力を有する生徒が大幅に減った」と述べ、「競技での勝利を目指すより、楽しいものにすべきだという観点が主流になった」と語った。

コーチ派遣に当たっては学校からヒアリングし、顧問が指導に困難を抱える部を対象にしているといい、「予算には限りがあり、企業のCSRとしてさらなる協力を得られないか模索している」と述べ、「部活動経験がある若手社員を午後3時に退勤させ、4~6時はサポーターとなって部活動の指導に加わってもらうといった案を、企業と検討している」と語った。

パネルディスカッションには、元サッカー日本代表の岩政大樹氏、名古屋大学の内田良准教授、國學院久我山高校サッカー部で外部指導員を務める清水恭孝氏らが登壇。

岩政氏が部活動指導員を務める文化学園杉並中学・高校は、2019年度から共学化したばかりでサッカー部には1年生しかおらず、練習はテニスコートでしているという。

「部活の将来」などについて語り合った岩政大樹氏(左)ら

岩政氏は「厳しい環境で成功体験を積ませるチャレンジを面白いと感じた」と語り、「周囲から『Jリーガーを育てる』と思われており、違和感がある。自分のように他にも職務があり、空いている時間で指導にも取り組みたいという者には、今の関わり方がちょうどいい」と述べた。

内田准教授は「これまで部活動は設計上、巨大なピラミッド状で、えりすぐりのアスリートがトップにいた。今後は『ゆるい部活』のあり方が課題になる」と強調。

清水氏は「部活動では試合に出ることが重要で、試合に出て初めて知る喜びや悔しさがあり、サッカー選手が生まれる土壌にもなる」とした上で、「試合を目指さないのがいいと言えるだろうか」と疑問を呈した。

小林係長は「杉並区では、季節ごとに違った種目に取り組む『シーズン部』や、地域との関わりを重視する『ダーツボランティア部』がある」と、設置が進む「ゆるい部活」の一部を例示。

内田准教授は「ゆるい部活には議論の余地があり、外部指導員にも、教委の管轄外になっている中で体罰などの問題が起きている。いずれについても、制度設計については、さらなる議論が必要だ」と締めくくった。