狙われたスクールバス 防げなかった凶悪犯罪に衝撃

川崎市多摩区の路上で5月28日朝、通学のためにスクールバスを待っていた小学生や保護者が包丁を持った男に切りつけられ、小学6年生の女子児童と30代男性の2人が死亡し、小学生ら17人がけがを負った。犯人の男は自分の首を刺し、搬送先の病院で死亡した。

小学生ら19人が死傷したスクールバス乗り場。犯人は両手に包丁を持ち、奥に見えるコンビニエンスストア近くからやってきて、並んでいた小学生らを次々と刺したり切り付けたりした

児童たちが通学している私立カリタス小学校では、近くの登戸駅からバス乗り場まで教員や保護者が付き添い、スクールバスに教員が同乗するなど児童の安全対策を講じていた。それでも登下校中の児童を狙った凶悪犯罪を防ぐことはできなかった。教育現場が受けた衝撃は大きい。

犯人の男は同日午前7時45分ごろ、同区登戸新町の登戸第1公園に面した路上で、近くのコンビニエンスストア周辺から両手に包丁を持って30代男性と40代女性を刺し、続いてスクールバス乗り場に並んでいた児童に次々と切り付けた。スクールバスの運転手が「何をしているんだ」と声を掛けると、男はバスの後方に逃げ出し、自分の首を刺して倒れた。

警察によると、切り付けられたのは、小学生17人と男女2人の計19人。東京都多摩市に住む小学6年生の栗林華子さん(11)と、東京都世田谷区に住む外務省職員、小山智史さん(39)の2人が死亡した。

搬送先の病院によると、犯人の男は50代とみられ、心肺停止状態で担ぎ込まれ、死亡が確認された。

児童たちが通学している私立カリタス小学校は、カナダのケベック・カリタス修道女会がカトリック学校として1960年代に開設。幼稚園から小学校・女子中等高等学校までカトリック教育の理念に基づいた一貫教育が行われている。

同校は登戸駅から徒歩20分ほど離れており、小学生は登戸駅近くから毎朝運行されているスクールバスを利用している。同校の内藤貞子校長や保護者らによると、登戸駅からスクールバスのバス停まで約250m離れているため、毎朝、児童は整列して教師に引率されて駅からバス停に移動したり、教師がスクールバスに分乗して通勤したりするなど、登校時の安全対策を講じていたという。

小学生らに切りつけ、バス停の後方に逃げた犯人の男が自分の首を刺して倒れた現場。血痕を洗い流した歩道がぬれている

事件発生時、児童を引率するため現場にいた同校の倭文覚(しとり・さとる)教頭は記者会見で「列の先頭で子供たちをバスに乗せているとき、後方で子供たちの叫び声が聞こえた。列の後方に行くと、犯人が両手に長い包丁らしきものを持って、無言で児童に刃物を振っていた。スクールバスの運転手が追い掛けると、犯人はバスの後方に逃げた」と、状況を説明した。

学校法人カリタス学園の齋藤哲郎理事長は記者会見で「落ち度のない子供たちが被害に遭い、怒りのやり場がない。痛恨の極みだ」と衝撃を語った。

安倍晋三首相は同日午後、記者団に「大変痛ましい事件であり、幼い子供たちが被害に遭ったことに強い憤りを覚える」と述べ、柴山昌彦文科相と山本順三国家公安委員長を首相官邸に呼び、子供たちの登下校時の安全確保について早急に対策を講ずるよう指示したことを明らかにした。

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